平成20年4月 第2312号 (4月16日)
■理科教育の新たな展開を JST報告書
科学技術振興機構(JST:北澤宏一理事長)は、このほど報告書「学校と社会が一体となって小学校理科教育の新たな展開を―理科好きの子どもたちの芽を育むために―」を取りまとめた。
同機構は、理科教育支援機関として、適切な役割を果たしていくため、平成十九年九月に「理科教育支援センター」(有馬朗人センター長)を発足させた。同センターの発足に当たって理科教育に関する今後の同機構の役割などについて検討を行った「理科教育支援検討タスクフォース」より、とりわけ急がれるのは小学校の理科教育の改善である旨を指摘された。これを受けて、理科教育支援検討タスクフォースの下に小学校分科会を設けて検討を行ってきた。
分科会は、山極 隆玉川大学学術研究所教授を主査に、平成十九年十二月から五回にわたり議論を重ね、理科教育の地域拠点の創設や地域・社会の理科教育資源の小学校教育への活用の一層の促進などを柱とし、今回の報告書をまとめた。
内容は、@これからの理科教育の在り方、A今日の小学校理科教育の在り方、B課題解決のための方策である。具体的には、地域拠点創設による教員研修の充実とネットワーク形成、多忙な教員の環境整備と地域・社会との連携の強化、教員の資質・能力の向上につながる小学校教員の養成の充実、理科が得意な教員の確保につながる教員採用試験の改善、特別免許の活用や人事交流などを通じた優秀な理科専科教員の確保、理科教員の顕彰制度の創設による理科に対する指導力の向上、について述べられている。
JSTは、今回の報告書を踏まえ、国や地方自治体と連携・協力し、小学校の理科教育支援の充実に取り組んでいきたいと考えている。