平成20年4月 第2310号 (4月2日)
■緊急地震速報は必要か? 教育機関に導入の動き
昨年十月一日から一般配信が始まった気象庁の緊急地震速報は、四月一日から関東の民放ラジオ各局が放送を開始、一部の携帯電話でも受信できるようになるなど、徐々に浸透している。
しかし、これらは『一般向け』と呼ばれる緊急地震速報で、推定震度や猶予時間が分からないうえ、館内放送に連動できない。大学等では、携帯電話で情報を受信した一部の人だけが突然叫びながら走り出し、大勢がつられてパニックが起こる危険性が生じる。
これを防ぐ意味でも、『高度利用者向け』と呼ばれる緊急地震速報を用いて、施設ごとの「推定震度や猶予時間を把握し、館内放送を流せるシステムが求められている。
先行する百貨店業界では、関東地区での導入がほぼ完了し、全国的に検討が進んでいる。教育機関においても、大学、高校、小中学校、幼稚園などで緊急地震速報受信システムを導入する検討が始まっている。
現場の防災担当者に聞くと、「防災避難訓練での活用法がわからない」「短時間で何ができるのか」等の声があった。気象庁や東京消防庁にも納入実績のある明星電気(MEISEI)の機材を薦める(株)カブト執行役員の古長谷稔氏は、「緊急地震速報に対応した防災避難訓練では、緊迫感が変わるため、訓練を繰り返すと防災意識の啓発につながります」と言う。
緊急地震速報は始まったばかりの仕組みだが、大切な命を預かる教育機関こそが真っ先に取り入れるべきであろう。