平成20年3月 第2309号 (3月26日)
■科研費説明会開く
研究開発経費の重複・集中排除へ
文部科学省は、平成二十年度科学研究費補助金に関する説明会を、全国八会場で開催した。新たに予算が組まれる「新学術領域研究」の公募要領、二十年度「研究者使用ルール」および「機関使用ルール」の主な変更点(予定)、交付申請書等の変更点、科研費における府省共通研究開発管理システム(e-Rad)の利用、不正使用等の防止の措置、について一層の周知を図る。
二十年度予算案では、科研費は一九三二億円。前年度比で増額となっており、科研費の拡充と改革を謳う文科省は、若手研究者育成・支援の拡充として、「若手研究(B)」「若手研究(スタートアップ)」に新たに三○%の間接経費を措置、また「若手研究(S)」の充実化ということで五六億円増を、さらに、新たな領域を開拓する「新学術領域研究」の新設で五三億円増を見込んでいる。
「新学術領域研究」は文科省が審査・交付を行い、異分野連携等による新領域形成や挑戦的研究などを推進する。新たな研究領域について共同研究や研究人材の育成等の取組を通じて発展させる「研究領域提案型」(期間五年)と、確実な研究成果が見込めるとは限らないものの革新的・挑戦的な研究「研究課題提案型」(期間三年)の区分がある。
二十年度「研究者使用ルール」および「機関使用ルール」の主な変更点(予定)としては、@分担金の配分について(直接経費・間接経費を研究分担者に配分)、A直接経費の使用内訳の変更について(総額に対する割合の引き上げ)、B実績報告について(研究分担者使用の補助金の実支出額の報告)、C自己評価報告書について(最終年度の前年度に統一実施)、D研究成果報告書について(社会への公開)、E研究成果発表報告書及び新聞掲載等報告書について(メディア発表の場合は簡素化)、以上六点あるが、四月以降に決定する。
また、一月より運用を開始しているe-Radについては、競争的資金制度等における研究者情報の管理ということから、同システムでの研究者情報の登録が必要となる。科研費応募手続き等については従来どおり「日本学術振興会電子申請システム」より手続きする。同システムの利用により、一部情報を競争的資金担当課間で共有するとともに、研究者への研究開発経費の不合理な重複や過度の集中を排除し、適切な研究費の配分を実現する。
新学術領域研究の重複応募の制限については、研究領域提案型、研究課題提案型ともに、同一研究者が研究代表者または研究分担者としては一件のみの応募とし、加えて、新規に研究代表者または研究分担者として応募する場合には、各研究種目との間において重複応募の制限が課されることとなる。