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平成20年3月 第2308号 (3月12日)

「科学リテラシー涵養活動」を創る(中間報告)

 独立行政法人国立科学博物館(佐々木正峰館長)ではさきに、有識者会議を設け、科学リテラシー涵養について検討を進めてきたが、このたび同会議において、「科学リテラシー涵養活動」を創る〜世代に応じたプログラム開発のために〜と題した中間報告を去る二月二十七日に発表した。今後は、各方面からの意見等を求め、具体的なプログラム開発と体系化について検討していくとしている。

 I、科学系博物館における「科学リテラシー涵養活動」のあり方
 1、科学リテラシー涵養の必要性
 科学リテラシーの涵養は
 ・科学技術に関連する社会生活上の諸問題に対して適切な対応をするために必要である。
 ・個人と社会の関係でも地球的規模でも、豊かに生きる社会を実現することができる。
 ・学校、科学系博物館をはじめ、多様な活動主体によって展開されるべきである。
 ・世代別に対応するなど、新たな手法や考え方が求められている。
 2、科学系博物館の今後の社会的役割
 ・人間社会や社会における科学の位置づけも変わりつつあり、このような変化を想定して検討する。
 ・人々が生涯にわたり幸福を享受できる社会を築き上げるため、人々の科学リテラシーを涵養し、科学文化の成熟度を高める。
 ・人々の社会参加を支援し、博物館も人々や社会へメッセージを発信し、双方向的な営為をより一層行う。
 ・最先端の科学技術の成果や動向を取り入れ、歴史的体系に立脚した研究成果に加えて新たな価値や考え方を示す。
 ・各世代や個人の生活場面に応じた多様な活動を体系的に提供し、人々が生涯にわたって自己実現できる場としての役割を果たす。
 ・科学リテラシーを涵養する多様な活動主体間の連携に寄与する役割を担っている。
 3、科学系博物館における「科学リテラシー涵養活動」のあり方
 「科学リテラシー涵養活動」とは―・自然界や人間社会において実生活に関わる課題を通じ、人々の世代やライフステージに求められる科学リテラシーを涵養する継続的な活動体系。
 ・人々の世代やライフステージに応じて科学技術に関する知識や態度を発展・向上させ、個々人がその成長を実感できる。
 ・科学系博物館と社会とのコミュニケーションにより、個々人の成長過程を社会も共有する。
 「科学リテラシー涵養活動」の特徴
 多様化する科学領域に対応―・多様化する科学の領域や他の学問領域との関係、実生活との関わりを考え総合的に展開されるもの。
 ・科学系博物館をはじめとした活動主体が積極的に連携して対応する必要がある。
 世代及びライフステージに対応―・社会の様々な活動主体が連携・協力し、人々の様々な生活場面に対応し、就学期間を含む人生の様々なライフステージで求められる学習の場を提供することができる。
 総合的な見方・考え方をはぐくむ―・社会で起こる様々な出来事に対し、総合的な見方や考え方ができる資質・能力を育成することを目指す。
 II、「科学リテラシー涵養活動」の開発
 Iで構築された「科学リテラシー涵養活動」の体系をふまえ、自然界や人間社会において実生活に関連する具体的な課題として考えられる「科学リテラシー涵養活動」の展開例―「食の中に生きる科学」、「水とくらしと私たち」、「エネルギー」を紹介している。

 科学リテラシーとは人々が自然や科学技術に対する適切な知識や科学的な見方及び態度を持ち、自然界や人間社会の変化に適切に対応し、合理的な判断と行動ができる総合的な資質・能力である、としている。

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