平成20年3月 第2308号 (3月12日)
■創立101年、さらに未来へ
筑紫女学園大学は、昨年学園としての創立一〇〇周年を迎え、本年は新たな一〇〇年に向かって、更なる一歩を踏み出す年となった。
本学は、明治三十三年、浄土真宗本願寺派の北米開教使としてアメリカに渡られた水月哲英先生が、かの地での女性の地位の高さは教育によるものと痛感され、帰国後、わが国に仏教に基づく女子教育を確立しようと発願されたことに始まる。
明治四十年、筑紫高等女学校としてスタートした学園は、その後着実に発展を続け、戦中・戦後の困難を乗り越えて展開してきた。昭和四十年に短期大学を開設し、同四十四年には付属幼稚園を開園、そして昭和の最後の年に四年制の大学を開学した。
現在、短期大学部は現代教養学科と幼児教育科の二学科、大学・文学部は日本語・日本文学科、英語学科、アジア文化学科、人間福祉学科、発達臨床心理学科に英語メディア学科を加えた六学科となり、昨年は一〇〇周年を飾る教学的展開として、大学院人間科学研究科(修士課程)を開設することができた。創立以来の歩みは、今や幼稚園から大学院まで(小学校を除く)を擁する総合学園へと結実してきたのである。
新しい年を迎えて、改めて学園の歴史を振り返ってみると、この一〇〇年の歩みを貫いてきたのは「仏教に基づく人間教育」という建学の精神であったと思う。それは「自律(自己への目覚め)」、「和平(他者への目覚め)」、「感恩(生命への目覚め)」という校訓に集約されて受け継がれてきたものであるが、昨年はその精神を教職員全員が共有するために、より簡潔なものとして明文化するべく議論を重ねてきた。
その結果まとまったのが、「筑紫女学園大学は、限りない(いのち)への目覚めをうながし、社会の中で自己を実現する人の育成を通して、新しい時代を創造する」という「本学の基本理念」である。
それは、一人ひとりの学生が、自己のかけがえのなさを知ると同時に、他者とのつながりを尊重し、さらに大きな恵みの中に包まれていることに、目覚めて生きる人となってほしいという願いを表したものである。
知識や技術の習得にとどまらず、そうした人生への確かな視点を持った人を育成することこそ、これからの新しい時代を切り開くことに貢献すると信ずるからである。