平成20年3月 第2308号 (3月12日)
■第35回公開研究会 私大経営システムの分析
日本私立大学協会附置私学高等教育研究所(大沼 淳所長)は、去る二月二十五日、第三一回研究員会議を開くとともに、東京・市ヶ谷のアルカディア市ヶ谷において、「私大経営システム分析」をテーマに、約一〇〇名が出席して第三五回公開研究会を開催した。
研究員会議では、「私学ファンディングに関する研究」、「私学学士課程教育における“学士力”育成のためのプログラムと評価」などの六つのプロジェクトの研究案について協議し、了承された。なお、同協会業務の施策等に資する効果的なデータ分析等についても、各プロジェクト関連の研究成果等から取りまとめることなども確認した。
公開研究会では、平成十九年度の研究プロジェクトの成果として昨年十一月に私学高等教育研究叢書として取りまとめられた「私大経営システムの分析」の内容に沿って、今後の戦略的経営の構築に向けての課題、理事会機能の変容に伴う事務職員の役割、その他、アメリカの大学理事会についてなど、同研究所主幹の瀧澤博三氏の司会で、解説・協議が行われた。
はじめに、同プロジェクトのリーダーである篠田道夫氏(日本福祉大学常任理事)が、アンケート調査・大学訪問調査等を基にまとめた五つの「共通する戦略的経営の基本的特徴」として解説した。
(1)戦略や計画の明確な策定、実現すべき中心テーマへの力の集中、トップダウンとボトムアップの総合、企画部門の重要性。
(2)戦略の実行計画への落とし込み(選択と集中、PDCAサイクルなど)。
(3)政策推進を担う各組織運営の機能化。
(4)経営と教学の政策一致、教員・職員・教職管理者の一体的業務遂行、学内各層の参加型運営、責任の明確化・評価。
(5)職員の役割の重要性。
次に、「理事会機能の変容に伴う事務職員の役割等」について、坂本孝徳氏(広島工業大学副総長・教授)が解説した。
同氏は、理事会の支援組織、経営計画と事務職員の役割、事務職員の機能成長に関する課題等を解説した。
続いて、「アメリカの大学理事会」について、羽田貴史氏(東北大学高等教育開発推進センター教授)が解説した。
同氏は、アメリカの大学理事会の機能・役割の変化等を説明する中で、我が国の理事会の役割等は如何にあるべきかと論じた。
最後に、瀧澤主幹が「学校法人のガバナンス」について、マネジメントとガバナンスの関係、などについて解説した。