平成20年2月 第2306号 (2月27日)
■地域で若者がチャレンジ!! コミュニティ・プロデューサー・フォーラム2008開く
地域や社会が元気になるチャレンジを応援しよう―チャレンジ・コミュニティ・プロジェクト、NPO法人起業支援ネット、NPO法人ハットウ・オンパクは経済産業省の後援のもと、去る二月二十三日、東京都内で、「コミュニティ・プロデューサー・フォーラム2008」を開催した。全国各地から二四名の地域の仕掛け人(プロデューサー)が集い、成果の報告を行った。
多くの地方都市では経済活動の低迷により、産業の弱体化や空洞化、農村漁村の過疎化などが進んでいる。それによって、地域の人の繋がりが希薄化し、土地への愛着や安心安全が失われるという社会問題も起きている。一方で、大学は地域に貢献するために、様々な試みを行っている。大学生等若者をはじめ、シニア・主婦等がどのように地域づくりに関わっていくかが問われる中、地域での新しいビジネスチャレンジを応援するべく全国各地のプロデューサーたちが集い、現場での成果を報告した。
まず、経済産業省経済産業政策局地域経済産業グループ立地環境整備課長の山本哲也氏が開会の挨拶を行い「社会的課題をビジネスという視点から解決していくソーシャルビジネスを普及して欲しい」等と述べた。パネルディスカッションでは、一九九二年から起業支援を行う「起業支援ネット」の関戸美恵子代表理事、温泉を基点に地域づくりを行う「ハットウ・オンパク」の鶴田浩一郎代表理事、このたびのフォーラムの事務局を務めるNPO法人ETIC.の宮城治男代表理事がパネリストを、そして、シンクタンク・ソフィアバンクの藤沢久美副代表がコーディネーターを務めた。
チャレンジ意欲の高い人材を探すにはどうしたらよいか、人のチャレンジ意欲を高めるにはどのようにすればよいか等をテーマに議論が行われ、「意欲が低くなったときに、支えてくれる周囲の環境が大事」、「日本が元気になるには、新しいことに挑戦できる地域を育てることが重要」等の意見が出された。
続いて、分科会が行われた。テーマは次の通り。
@ソーシャルプロジェクト・起業人材を育むための、地域のプラットフォームづくり、A地域資源を(第一産業)を活用した新たなチャレンジ創出、B大学と連携した地域のチャレンジ環境づくり、C起業CSRと連動したチャレンジ支援・人材育成の仕組み、D商店街・まちづくりを舞台とした新たなチャレンジ支援、Eチャレンジ支援を仕事にしていくことをめざす人々たちの物語
特に分科会B「大学と連携した地域のチャレンジ環境づくり」では、立命館アジア太平洋大学を休学してインターンとして「ハットウ・オンパク」に関わる学生の森 淳司氏、近畿大学産業理工学部や九州工業大学を有する学園都市の九州・飯塚市で学生起業家育成に尽力する株式会社ハウインターナショナル代表取締役正田英樹氏、宮城大学のサークルから事業化、実践型インターン事業等を展開する株式会社デュミナス代表取締役渡辺一馬氏、高知大学副学長人文学部教授の池田哲実氏がプレゼンターとなり、大学と地域の連携における問題点などを議論した。その中で、池田教授は、「地域コミュニティと学生との信頼関係は、長期のかかわりでないと築けない。また、短期では現場から学生が人生観や世界観を学ぶことは難しい。しかし、大学単独で長期インターンに対応することも困難。そのために、インターンの支援機関との連携が必要」と、他団体との連携による長期インターンシップの重要性を説いた。更に、「大学は連携する機関等やインターンの受け入れ先などと対等な関係を築けるかどうかが重要である」等と述べた。
また、正田氏は、大学の地域貢献は入学生の獲得にはまだ結びつかない。しかし、「人の役に立つ人こそが価値が高い」と思われるように時代は変わってきている。今後、大学を選ぶ基準も変わってくるのではないか、と述べると共に、「大学とは、本来、学生に人生をどう生きるか、人間とは何かを考えさせることが使命。地域での取組を通して、是非ともこの使命を達成してもらいたい」と熱心に語った。
その後、交流会となり、各地域で活動する大学生・関係者は熱心な情報交換を行った。
経済産業省が後援する「チャレンジ・コミュニティ・プロジェクト」は、若者が地域の大人たちと一緒に、短くて三か月程度、長くて一年間という時間をかけて、地域での新しい仕事作りに挑戦する長期実践型のインターンシップを行うもの。全国各地に広がっており、また、こうした取り組みを単位認定・カリキュラム連携等を行う大学も三〇を超えている。
事務局のETIC.(エティック)は、大学生へのキャリアデザイン支援やベンチャー企業やNPOへのインターンシップ事業等を手がけている。