平成20年2月 第2306号 (2月27日)
■学校保健法等の一部改正へ 中教審答申と改正法案の要点
中教審は去る一月十七日に「子どもの心身の健康を守り、安全・安心を確保するために学校全体としての取組を進めるための方策について」(答申)を公表した。文科省は、学校の環境衛生および学校給食の衛生管理等に関する基準策定のため、平成二十一年四月施行を目途に学校保健法等の一部改正案を上程する。
中教審は、平成十九年三月二十九日に文部科学大臣から「子どもの心身の健康を守り、安全・安心を確保するために学校全体としての取組を進めるための方策について」の諮問を受けて、スポーツ・青少年分科会に学校健康・安全部会を設置して審議を行い、各方面からの意見をまとめ、答申とした。同答申の概要は次のとおり。
▽学校保健の充実を図るための方策
b養護教諭を中核として学校内外の関係者と連携・協力しつつ、学校保健も重視した学校経営がなされることを担保する法制度の整備について検討することが必要。
b学校保健活動の充実・強化を図るため、退職養護教諭の活用、保健主事の能力向上のための実践的研修プログラムの開発、学級担任による日常的な健康観察の充実などが必要。
b子どもの心身の多様な健康課題に的確に対応するため、学校医等の専門的知見を活かした保健指導、スクールカウンセラーの効果的な活用が必要。
b家庭や地域社会との連携による学校保健活動を実現するため、各学校における連携組織の設置および活性化、市町村教育委員会を中心としつつ、保健部局等も含めた地域ぐるみの学校保健推進のための組織作り等が必要。
bすべての学校における環境衛生の水準を確保するための全国基準として「学校環境衛生の基準」の法制度上の位置づけを検討することが必要。
▽学校における食育の推進を図るための方策
b学校給食法における学校給食の目的を食育の観点から見直すとともに、全国的な学校給食の水準を確保するため、「学校給食実施基準」を法制度上位置づけることについて検討することが必要。
b栄養教諭の配置促進および研修の充実を図ることが必要。
b学校給食を活用した食の指導の充実を図るため、各学校において食の指導に関する全体計画を策定すべきことや、栄養教諭の果たすべき役割を法制度上明確に位置づけることを検討することが必要。
b安全・安心な学校給食の実施がなされるよう「学校給食衛生管理の基準」の法制度上の位置づけを検討することが必要。
b市町村教育委員会を中心としつつ、保健部局や農政部局等との連携を図り、地域全体で食育を推進することが必要。
▽学校安全の充実を図るための方策
b各学校において、学校生活における事故や事件に対応した安全点検、通学路の安全点検および自然災害に対応した安全点検が的確になされるよう、学校安全計画において定められるべきことを法制度上担保することについて検討することが必要。
b危険発生時に適切な対応ができるよう、各学校において、その実情に応じた危機対処要領を策定するべきことについて、法制度上担保することを検討することが必要。
b防犯監視システムの整備、学校施設の耐震化の推進など学校施設の安全性の確保を図るとともに、警備員の配置、地域ボランティアによる学校内巡回等、多様な人材の活用による学校安全体制の強化を図ることが必要。
bスクールガード・リーダーなど専門的な知見を有する者の活用によるボランティア活動の充実・強化を図るとともに、学校と家庭や地域社会がお互いの顔がわかる関係作りを進め、地域ぐるみで学校安全管理体制を強化することが必要。
これを受けて、「学校保健法等の一部を改正する法律案」では、学校保健法については、法律の題名を「学校保健安全法」(仮称)に改め、学校保健と学校安全の各分野で規定を整備すること、学校給食法の一部改正(食育・学校給食)では、食育の観点からの改定等を目指す案になっている。