平成20年2月 第2305号 (2月20日)
■学習指導要領改定案を公表 外国語導入・授業時数を増
文部科学省は、去る一月十七日の中央教育審議会答申「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善について」を受け、学習指導要領改訂の作業を進め、二月十五日に、幼稚園教育要領、小学校学習指導要領および中学校学習指導要領の改訂案を公表した。主なポイントは次のとおり。
1. 今回の改訂の基本的考え方
・教育基本法改正等で明確となった教育の理念を踏まえ「生きる力」を育成
▽「知識基盤社会」の時代においてますます重要となる「生きる力」という理念を継承。また、「生きる力」を支える「確かな学力」、「豊かな心」、「健やかな体」の調和を重視。
▽今回の改正により、教育の理念として、新たに規定された公共の精神、伝統や文化の尊重などを踏まえ、伝統や文化に関する教育や道徳教育、体験活動等を充実。
b知識・技能の習得と思考力・判断力・表現力等の育成のバランスを重視
▽各教科において、基礎的・基本的な知識・技能の習得を重視した上で、観察・実験やレポートの作成、論述など知識・技能を活用する学習活動を充実し、思考力・判断力・表現力等を育成。
▽あらゆる学習の基盤となる言語の能力について、国語科のみならず、各教科においてその育成を重視。
▽前述のような学習を充実するため、国語、社会、算数・数学、理科、外国語等の授業時数を増加。
▽これらの取組や勤労観・職業観を育てるためのキャリア教育などを通じ、学習意欲を向上するとともに、学習習慣を確立。
b道徳教育や体育などの充実により、豊かな心や健やかな体を育成
▽体験活動を活用しながら、道徳教育や体力の向上についての指導、安全教育や食育などを発達の段階に応じ充実し、豊かな心や健やかな体を育成。
2. 教育内容の主な改善事項
b言語活動の充実
▽具体的には、国語科において読み書きなどの基本的な力を定着させた上で、各教科等において記録、説明、論述、討論といった学習活動を充実。
b理数教育の充実
▽科学技術の土台である理数教育の充実を図るため、国際的な通用性、内容の系統性、小・中学校での学習の円滑な接続を踏まえた指導内容を充実。
b伝統や文化に関する教育の充実
▽国際社会で活躍する日本人の育成を図るため、各教科等において、我が国や郷土の伝統や文化を受け止め、それを継承・発展させるための教育を充実。
▽具体的には、国語科での古典、社会科での歴史学習、音楽科での唱歌・和楽器、美術科での我が国の美術文化、保健体育科での武道の指導などを充実。
b道徳教育の充実
▽道徳教育は、道徳の時間を要として学校の教育活動全体を通じて行うものであることを明確化。
▽発達の段階に応じて指導内容を重点化し、体験活動を推進。
▽道徳教育推進教師(道徳教育の推進を主に担当する教師)を中心に、全教師が協力して道徳教育を展開することを明確化。
▽先人の生き方、自然、伝統と文化、スポーツなど、児童生徒が感動を覚える教材を活用。
b体験活動の充実
▽子どもたちの社会性や豊かな人間性をはぐくむため、その発達の段階に応じ、集団宿泊活動や自然体験活動(小学校)、職場体験活動(中学校)を重点的に推進。
b外国語教育の充実
▽積極的にコミュニケーションを図る態度を育成し、言語・文化の理解を深めるため、小学校高学年に外国語活動を導入。
▽中学校においては、コミュニケーションの基盤となる語彙数を充実するとともに、聞く・話す・読む・書く、を総合的に行う学習活動を充実。
今後は、同改訂案について三月十六日までパブリックコメントを行う予定。
なお、移行措置については、指導内容の増加が見込まれる算数・数学、理科について、平成二十一年からの移行期間から内容を追加して指導することが必要とし、今後引き続きその具体的な内容や必要な授業時数の確保、教材の提供の方途などについて検討していく。