平成20年2月 第2305号 (2月20日)
■0歳からのスタート
今年還暦を迎えました。還暦は人生が一度一巡したことです。ですから、また人生が0歳から始まるという言い方もできるのではないかと思います。
私が大阪成蹊学園の理事長に就任して今年で一四年になります。五年前に、大阪成蹊大学とびわこ成蹊スポーツ大学という二つの大学を新たにスタートさせました。それまでは短大と高校と短大附属の幼稚園を運営する学校法人でした。
理事長に就任する前の職歴は大部分が公認会計士としての仕事でした。その当時は公認会計士として一生仕事をすることになるだろうと思っていました。しかし必然的な縁だったのかどうか分かりませんが、一四年前から学校法人の経営をすることになりました。
少子高齢化、大学過剰と言われる中で五年前にあえて大学を二つ作りました。もうすでに数多くの大学があるので、もはやこれ以上大学は必要ないという考え方もあるでしょう。しかし、大学が提供する教育サービスは、大学ひとつひとつすべて違うサービスを提供しています。世の中にいろいろな業種があり、それぞれの業種に数多くの企業があります。そして、それぞれの企業が違った商品やサービスを提供しており、それによって消費者が満足を得られることになっています。
私の発想は常に「消費者」の視点に立った発想です。従って、二十一世紀になってから社会構造が激変し、それによって社会が求める人材の要請が大きく変わっている現在、当然、人材養成をする大学の多様化が求められていると考えています。すなわち、これまでの大学ではカバーできない人材養成の分野が数多く発生しているということです。
このような問題意識を持ちながら、私自身今年還暦を迎え、再度の人生をスタートするに当たり、一度六〇年の人生をクリヤーして0歳からの出発の気持ちを持って、大学として何をしなければならないのか、何が出来るのかをじっくり考えて、再スタートしたいと思っているところです。