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平成20年2月 第2305号 (2月20日)

学校法人の運営等で協議会 20年度予算案の施策の解説など

事務処理等基本事項の周知図る

 文部科学省は、去る一月三十一日、東京・港区のメルパルクホールで「学校法人の運営等に関する協議会」を開催した。同協議会は、学校法人及び私立大学等の円滑な運営に資するため、これらに関する施策の概要及び事務の適正な処理等に関わる基本的な事項の周知を図ることを目的に毎年開かれているもの。磯田文雄私学部長の挨拶の後、九つの関係所管の担当課長等からそれぞれの施策等についての解説が行われた。

 はじめに、磯田私学部長は、「学校教育法、地方教育行政法、教育職員免許法などが改正され学校法人を取り巻く状況も変化している。また私学助成が対前年度比一%減となったものの、耐震化や定員割れを改善する取組等への支援、新規事業の戦略的大学連携支援などには積極的に申請をして欲しい。一方、財務状況をはじめとする経営情報については情報公開し、管理運営の適正化を図るとともに、経営状態については、私学事業団が取りまとめた『最終報告』を参考にするなどして、私学事業団や文科省に相談して欲しい」などと挨拶した。
 所管事項の説明に移り、関係各課から詳細な解説が行われた。
 ▽私学行政課(杉野 剛課長)=各論に先立って、「今後約一〇年間は一八歳人口が一二〇万人台でほぼ横ばいとなる“踊り場”的な状況となる。腰を据えて経営に取り組んで欲しい。これまでは大学間の競争だけであったが、これからは連携という新しい要素も考えなければならない。このことは文科省の政策の転換との意味合いもある」と述べた上で、税制改正の解説のほか、校地・校舎の自己所有要件の緩和(貸主は国、地方公共団体等だけでなく民間からの全部借用も認めること)、また、借用期間に関する要件などを説明したほか、地球温暖化対策については、全私学連合の「環境自主行動計画」を評価した。最後に、学校債の有価証券指定についても言及した。
 ▽私学助成課(芦立 訓課長)=経常費補助が三一億八二〇〇万円減の三二四八億六八〇〇万円となり、私学助成全体では対前年度一%減の四五〇一億三六〇〇万円となったことを述べた上で、改善点として、定員割れ解消への取組の支援に八億円を措置したこと、学校施設の耐震化促進のため平成十九年度の補正予算(四四億九五〇〇万円)とともに所要額を確保したこと、さらに、十九年度と同様に各大学の特色を活かせるきめ細かな支援をするため、特別補助においてゾーン化・メニュー化を整備したことを解説した。ゾーンとしては、@地域社会のニーズに応える教育の推進、A個性豊かで多様な教育の推進、B教育研究活動の高度化・拠点の形成を、また、メニューとしては、@知の拠点としての地域貢献支援、A就学機会の多様化推進、B大学院教育研究高度化支援、C学部教育の高度化・個性化支援などを説明。そのほか、二十年度の新たなプログラムとして「戦略的大学連携支援事業」、「人文学及び社会科学における共同研究拠点の整備の推進」等も説明した。
 ▽私学部参事官(北尾善信参事官)=学校法人の管理運営に関する自己点検リストによる不断の検証を行うこと、説明責任を果たし、財務情報をインターネットの活用等により公開するなど積極的な対応が必要とした。そのほか、学校法人の届出・証明等の文科省の担当部署を紹介し、遺漏のない手続きをするよう促した。
 ▽高等教育企画課(藤原誠課長)=中教審大学分科会制度・教育部会「学士課程教育の再構築について」の審議状況では、高大接続の改善として、「大学全入」時代を迎えて選抜方法の多様化(AO入試、推薦入試等)の検証の必要性などを強調した。また、大学の認証評価を平成二十二年度までに必ず受けること、真正な学位と紛らわしい呼称等の実態調査の結果などを解説した。
 ▽大学振興課(中岡 司課長)=大学教育改革の支援では、「社会人の学び直しニーズ対応教育推進プログラム」のハードルを少し上げて履修証明を取れるようにしたこと、特色GPと現代GPを統合した新規の「質の高い大学教育推進プログラム」(八六億円)は、四月までに公募予定であること、また、新規の「戦略的大学連携支援事業」については、制度的な改正が必要であれば中教審大学分科会で議論することになること、そのほか、大学設置基準等の一部改正に関連してFDの義務化についても解説した。
 ▽専門教育課(藤原章夫課長)=産学連携による実践型人材育成事業(長期インターンシップ・プログラム開発、ものづくり技術者育成、サービス・イノベーション人材育成)、先導的ITスペシャリスト育成推進プログラム(拠点代表大学を中心に展開する洗練事業で、教材の共同開発、教材の洗練・編集、ガイドラインの策定、ポータルサイトの構築、普及・展開活動などを行う)などについて詳細な解説をした。
 ▽学生支援課(村田善則課長)=貸与人員一二一・九万人・事業費総額九三〇五億円の奨学金事業の概要を説明することともに、その返還促進について協力を依頼した。その他では、福田康夫総理が述べた「留学生三〇万人計画」等についても解説した。
 ▽初中局初等中等教育企画課(大金伸光課長補佐)=学校評価について、学校教育法、同法施行規則等をもとに解説した。また、平成二十一年四月からスタートする教員免許更新制について、特に更新講習では、その実施形態、講師、内容、修了認定等について解説し、文科省では毎週、日を決めて相談を受け付けているとした。
 ▽科学技術・学術政策局政策課(戸渡速志課長)=はじめに、科学技術関係予算(二兆三一八二億円)の概要を述べた上で、人文・社会科学の振興(人文学及び社会科学分野における共同研究拠点の整備)、科学研究費補助金では、新たに「若手研究(B)」、「若手研究(スタートアップ)」に間接経費を措置したこと、また、間接経費未措置の研究種目にも、できるだけ早く措置する方向で検討したいと述べた。

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