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平成20年2月 第2304号 (2月13日)

面倒見のよさで学びの幸せを

高崎商科大学学長 淵上勇次郎

 人は誰でも幸せな人生を送りたいと願う。私たちが身を置く社会の情勢は絶えず変化しとどまることがない。世界的なグローバリゼーションの嵐が吹き荒れ、わが国では急速な少子高齢化が進みだした。大学を取り巻く環境は厳しさを増している。個性なき大学は社会的な存在意義を問われて退場するしかない。ナンバーワンよりオンリーワンとして磨きをかける時代。干支の始まる子年が本学にとっても新たな飛躍の年になってほしい。
 アリストテレスによると、人間のあらゆる技術や研究、行為や選択も、すべて何らかの「善」を目指している、もっともよき善こそ「幸せ」である。大学は教育や研究や社会貢献活動を通してそのよき善を、すなわち人々の幸せを目指している。幸せは求めなければ得られない。私たちは幸せを求めて日々努力を惜しまない。努力が実を結ぶかどうか保証はなくとも努力しないことには始まらない。
 大学にはそれぞれ建学の精神―活動の魂がある。本学には自主・自立の基本精神のもとに実学重視・人間尊重・未来創造の教育理念があり、また地域貢献を大事にしている。こうした建学の精神と教育理念のもとに「面倒見のよい」大学を目指している。面倒見のよさは学生諸君に学びの幸せを提供するはずだし、教職員自身も仕事に満足感を覚えると思う。教育は「協育」であって、学生と教職員、地域住民のコラボレーションによって成り立っている。一方的な自己満足では幸せになれない。お互いに打てばひびきあう「響育」といってもよい。そのためには相手を思いやるコミュニケーションが欠かせない。それは心地よい努力とでもいえよう。まずは挨拶をきちんとすることから心がけたいものである。本学を訪れる人は「ここの学生さんはよく挨拶をしてくれますね」と言ってくれる。率直に嬉しい。挨拶は学びの心を開く。
 大学は専門的な知識や技能を身に付けるだけでなく、人間としての魅力が培われる人材養成の場―人間力を高める場でありたいと思う。協育を経て社会の協働へ、学生諸君の本学卒業生らしい活躍を期待している。

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