平成20年2月 第2303号 (2月6日)
■「大学全入」時代の高大接続 WG議論のまとめ
中教審大学分科会 学士課程教育の在り方に関する小委員会「高等学校と大学との接続に関するワーキンググループ」は、このたび「大学全入」時代の高大接続について、大学が求める学生を見出す取組(選択)と、大学進学希望者自らの能力・適性等に基づいた大学選択の両立を目指す、「相互選択」をいかに図るかという姿勢への転換が求められている、との考え方を示した。
同ワーキンググループでは、高大接続の現状について、@高校での学習状況=十分に勉強せずに大学に進学する高校生、大学での専攻の基礎となる高校の科目を履修せずに大学に進学する高校生が相当数存在している、A大学生の意識=高校時代の自分の学習状況を後悔している大学生が多数存在し、また進学した大学の授業に困難さや不満を抱いている者も約三割存在している、B大学入試・初年次教育の現状=「大学全入」時代を背景に「学力不問」ともいわれる入試が拡大、こうした状況に高校・大学双方が懸念を持っている、とまとめている。
また、「大学全入」時代における高大接続の課題を次のように挙げている。
@AO・推薦入試:「学力不問」の状況をどのように改善するか=大学進学希望者の能力・適性を多面的・総合的に判定する観点からのAO・推薦入試では、大学教育に必要な基礎教育力を必ずしも把握できていないのではないか、との指摘から大学教育に必要な基礎学力の把握も視野に入れて実施することが課題。
A一般入試:大学教育に必要な能力・適性をどのように把握するか=一度のペーパーテストで、大学教育に必要な能力・適性が本当に判定できているのかとの指摘があり、各大学では、AO・推薦入試との差別化を図りつつ、一般入試において、大学教育に必要な能力・適性をいかに把握するかが課題。
そのような高大接続の課題解決の方向性として、高大接続テスト(仮称)の実施も視野に入れ、入試方法の検証・見直しを行うとともに、抽象的との指摘のある入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)の在り方を見直し、大学と大学進学希望者の「相互選択」が適切にできるよう改善を図る、としている。
高大接続の改革の方策としては、@調査書の内容・活用方法の改善、A入学者受入方針の明確化、B推薦入試の改善、CAO入試の改善(基礎学力の把握方法の改善、実施時期の見直し)、D一般入試の改善、の実施を挙げている。
同ワーキンググループでは、「大学全入」時代において各地域の大学が個性を活かして連携する取組が必要などとし、そのような中で円滑な高大接続を図るためには、大学教育の質保証や社会における大学卒業者の受入体制の改善への努力が必要であることも指摘している。