平成20年1月 第2302号(1月23日)
■新年賀詞交歓会を開催
桑沢デザイン研究所特任教授 森川嘉一郎氏が講演
日本私立大学協会の関東地区連絡協議会(大沼 淳会長、十九年度議長=小田一幸東京造形大学理事長)は去る一月十七日、東京・市ヶ谷のアルカディア市ヶ谷で、加盟一二三大学から七四大学一四〇名が出席して、新春講演会及び平成二十年新年賀詞交歓会を開催した。
はじめに、大沼会長から「新しい年を迎え、先生方の大学におかれましても新年の挨拶会が行われたことと存じます。最近はどこでも挨拶の場では、暗い話が多く、とりわけ一八歳人口の減少等に伴っての問題が挨拶の中に出てまいります。しかし、我々は、暗い話ではなく未来に希望が持てるような取り組みをしていくことがとても大事なことではないでしょうか。今年の賀詞交歓会は、明るい側面をそれぞれが探して語り合い、今後協会全体で伸ばしていけばよいのではないかと思っております」と挨拶があった。続いて小田議長から「一八歳人口の減少から入学定員確保に向けて学校間の熾烈な競争が展開されております。私達は、自己責任と自助努力によって、難問題に立ち向かわねばなりません」との力強い挨拶が行われた。
次に、同協会の小出秀文事務局長から、平成二十年度私立学校関係政府予算(案)について、私立大学等経常費補助金が「一%減」のしばりから前年度予算比三二億円減の約三二四八億七〇〇〇万円となったこと、税制改正要望等では、所得控除される寄付金額の上限を所得の四〇%から五〇%への引き上げが、認められなかったこと、しかし、国公私共通予算の戦略的大学連携支援事業費として三〇億円が計上されたこと、また、同協会事業として、一月二十八日に、私学会館において「私大財政基盤充実協議会」を開催することなどの報告があった。
引き続いて、「趣味と都市・おたく文化と秋葉原」と題して、桑沢デザイン研究所特別任用教授の森川嘉一郎氏から講演が行われた。同氏は、「一九八九年と二〇〇八年の東京・千代田区秋葉原(電気街)の風景をスライドで紹介。八九年は、家電製品を買いにくる家族づれの様子が、また、〇八年は、ガレージキットと呼ばれるアニメのキャラクターが登場、次にそれらの同人誌が売り出され、“おたく”と呼ばれる人たちで賑わいをみせている状況を詳細に説明した。一方で、舶来指向の人たちは別の地域でショッピングするなど、棲み分けが行われていることが紹介された。
同氏は、過去に日本のすぐれた絵画や建築物等が海外へ流出し、買い戻しができない状況を述べ、「おたく文化が海外へ流出することはないと思われるかもしれませんが、日本人が『おたく文化、って何』、と言っているうちに貴重な作品が海外に買われ、評価が定まったころには、日本にまったくなくなってしまう恐れがあり、できればこれらを保存し、アーカイブする施設を作りたい」との希望を述べた。
その後、会場を移しての和やかな賀詞交歓会が催された。