平成20年1月　第2301号（1月16日）

■［新刊紹介］
　 地域社会に貢献する大学
　 OECD(経済協力開発機構）編　相原総一郎・出相泰裕・山田礼子　訳

　同書は高等教育機関の経営（ＩＭＨＥ）に関するＯＥＣＤのプログラムのなかで、現在進行中のプロジェクトをもとにしたものである。プロジェクトの第一の目的は、地域開発に関わる新しい一連の関係者や仲介組織への対応に迫られている高等教育の管理運営者に指針を与えることである。第二の目的は、地域開発という目標の達成に向けて高等教育機関を活用しようとする中央政府・地方自治体に対し、政策形成上の助言を与えることである。
　同書は三部構成で、第一部は地域開発プロセスと高等教育政策に関する議論について詳しく述べている。特にあらゆる高等教育機関の経営に影響を与えている三つの段階、国際的、全国的、地域的における動向に焦点をあて、そのような段階間の相互関係に関して検討している。
　第二部は、変動する環境への高等教育機関の対応について論じている。そのなかで、教育、研究、地域社会貢献という三つの役割における特殊なマネジメント・プロセスに焦点をあてている。
　第三部は結論と勧告で、高等教育機関に地域的役割を受け入れさせる推進要因と進展を防げる阻害要因をまとめている。そして最後に地域との連携を深めるための資源と責任をもつ関係者と仲介組織に対し勧告している。