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平成20年1月 第2301号(1月16日)

高等教育の学習成果 評価手法開発へ OECDが予備調査に向け研究開始

 経済開発協力機構(OECD)は、去る一月十一日・十二日、東京・台場の東京国際交流館において、高等教育における学習成果の評価について議論、会合後の記者会見で、今後、各国や各国の高等教育機関に協力を求めながら、高等教育機関における学習成果の評価を行うためのフィージビリティスタディ(予備調査)の検討に入ることを発表した。

 OECD加盟各国の高等教育において、研究成果の評価は出来ているものの、学習成果の評価が出来ていないことを受け、OECDが二〇〇九年末までに高等教育の学習成果の評価について予備調査を行う。
 一五歳を対象とした国際学習到達度調査(PISA)のような国単位ではなく、高等教育機関単位で評価を行い、また、機関ごとにランキングをするのではなく、各機関の強みや弱みを客観的に認識してもらう目的がある。学習成果の全ての側面を評価できるものではないが、歴史経緯や言語、文化、更には国ごとに異なるカリキュラム、課程年限や進学率の差に留意する。調査の範囲や対象専攻分野、費用については今後話し合う。
 渡海紀三朗文部科学大臣は会見で、「多様な高等教育機関の一律した評価は難しいが、社会がグローバル化していく中で、学習成果の評価はますます大事になる。我が国もこの予備調査に協力したい」と積極的な姿勢を示した。
 我が国でも、文部科学省の大学分科会等で学士課程教育の見直しが行われ、大学卒業までに学生が最低限身に付けなければならない能力である「学士力」等について議論されているところである。各大学レベルでも、学生の専門分野の知識やスキルに加えて学習成果の向上について試行錯誤が行われている。
 なお、会合はフィンランド、ドイツ、韓国、メキシコなど二〇の国・地域から参加。二日間にわたり、池田守男資生堂相談役、有馬朗人元文部大臣、小宮山宏東京大学総長、マーシャル・スミス・ヒューレット財団プログラムディレクターがそれぞれ講演し、各国の評価の取組事例や活用事例についてディスカッションが行われた。

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