平成20年1月 第2300号(1月9日)
■科研費(特別推進特定領域)の中間・事後評価
「研究費減額や助成停止」は該当なし
文部科学省の科学技術・学術審議会学術分科会科学研究費補助金審査部会(鈴木厚人部会長)は、昨年十二月、科学研究費補助金(特別推進研究、特定領域研究)に係る中間・事後評価の結果を公表した。両研究種目における中間・事後評価の概要は次のとおり。
同評価は、特別推進研究及び特定領域研究について、研究経過・成果等の状況を把握し、その後の研究の更なる発展に資するために、「科学研究費補助金における評価に関する規程」の規定に基づき評価したもの。
調査は、様々な分野の委員会において、研究課題の機関に応じて現地調査、ヒアリング等を行った後、合議により結果をまとめた。
一.特別推進研究
特別推進研究は、「国際的に高い評価を得ている研究をより一層推進するために、研究費を重点的に交付することにより、格段に優れた研究成果が期待される一人又は比較的少人数の研究者で組織する研究計画」を対象としており、研究期間は三〜五年間。研究期間のうち初年度と最終年度を除く時期に中間評価を、研究期間終了後に事後評価を行うこととしている。
@中間評価(対象研究課題数…四七)
A「現行のまま推進すればよい」四五研究課題
Aマイナス「努力の余地がある」二研究課題
B「一層の努力が必要である」該当なし
C「研究費の減額又は助成の停止が適当である」該当なし
その中で、私立大学の研究課題(研究代表者・研究機関)評価は次の通り。
▽アジアバロメーターを通じたアジア人の生活・規範・価値の実証研究(猪口孝・中央大)A、▽精度保証付き数値計算学の確立(大石進一・早稲田大)A、▽造血幹細胞ニッチと細胞分裂制御(須田年生・慶応義塾大)A、▽一分子生理学による生体分子機械の動作機構の解明(木下一彦・早稲田大)A
A事後評価(対象研究課題数…一四)
Aプラス「期待以上の研究の進展があった」四研究課題
A「期待どおり研究が進展した」八研究課題
B「期待したほどではなかったが一応の進展があった」二研究課題
C「十分な進展があったとは言い難い」該当なし
その中で、私立大学の研究課題(研究代表者・研究機関)評価は次の通り。
▽法創造教育方法の開発研究―法創造科学に向けて(吉野 一・明治学院大)B、▽糖尿病治療効果を有する金属錯体の開発(桜井弘・京都薬科大)Aプラス、タンパク質機能の一分子デザインとシステム構築(石渡信一・早稲田大)A
二.特定領域研究
特定領域研究は、「我が国の学術研究分野の水準向上・強化につながる研究領域、地球規模での取り組みが必要な研究領域、社会的要請の特に強い研究領域を特定して、一定期間、研究の進展等に応じて機動的に推進し、当該研究領域の研究を格段に発展させること」を目的とした研究種目であり、研究領域の設定期間は三〜六年間である。研究領域の設定期間に応じて定めた時期に中間評価を、設定期間終了後に事後評価を行うこととしている。
@中間評価(対象研究領域数…三六)
A「現行のまま推進すればよい」三〇研究領域
Aマイナス「努力の余地がある」四研究領域
B「一層の努力が必要である」二研究領域
C「研究費の減額又は助成の停止が適当である」該当なし
その中で、私立大学の研究課題(研究代表者・研究機関)評価は次の通り。
▽セム系部族社会の形成:ユーフラテス河中流域ビシュリ山系の総合研究(大沼克彦・国士舘大)B、▽生体膜トランスポートソームの分子構築と生理機能(金井好克・杏林大)Aマイナス、▽脳機能の統合的研究(丹治 順・玉川大)A
A事後評価(対象研究領域数…二〇)
Aプラス「期待以上の研究の進展があった」五研究領域
A「期待どおり研究が進展した」八研究領域
B「期待したほどではなかったが一応の進展があった」七研究領域
C「十分な進展があったとは言い難い」該当なし
その中で、私立大学の研究課題(研究代表者・研究機関)評価は次の通り。
▽赤道大気上下結合(深尾昌一郎・東海大)Aプラス