平成20年1月 第2300号(1月9日)
■学校法人経理事務担当者研修会開く
会計・監査の諸問題を研究・協議
文部科学省は、去る平成十九年十二月十日、東京・港区のメルパルクホールにおいて、平成十九年度学校法人経理事務担当者研修会を開催し、会計業界の動向や学校法人の財務状況等と学校法人活性化・再生研究会の最終報告、さらに、学校法人の会計及び監査に係る諸問題などについて研究・協議した。
開会に当たり、同省高等教育局私学部参事官の北尾善信氏が「七月末の日本私立学校振興・共済事業団の最終報告におけるキャッシュ・フローを中心とした分析や自己診断などを大いに役立ててほしい。また社会への説明責任として財務情報を公開すること、さらに、会計だけでなく全ての事項について社会の厳しい目を意識して、法律に規定されていなくとも、行儀・作法などに留意してほしい」などと挨拶した。
研修のはじめには、日本公認会計士協会の小宮山賢副会長が「最近の会計業界の動向について」と題して解説した。
同氏は、平成十三年の企業会計基準委員会(ASBJ)による新たな会計基準の作成により、減損会計の適用指針、リース会計(売買と賃貸借)、企業結合の適用指針の作成、純資産の部の新設などが導入された経緯などを述べるとともに、平成十四年の国際会計基準審議会(IASB)の提案を受け、平成十八年には会計基準の統合を加速化し、欧米との相互承認を求めるとの経団連の提言が出されていること、そして、このような世界の流れの中で、日本の会計ルールも猛スピードで変わろうとしていることを解説した。
次に、日本私立学校振興・共済事業団の田辺和秀私学経営相談センター経営支援室主幹が「学校法人の財務状況等と学校法人活性化・再生研究会の最終報告」の概要を説明した上で、定量的な経営判断指標に基づく経営状況に対し、適切な対応をとっていくことがポイントであると論じた。
引き続き、日本公認会計士協会の宮 直仁学校法人委員会委員長が「学校法人の会計及び監査に係る諸問題」について解説した。
同氏は、会計基準改正に伴う関係法令の整備や基本金及び注記事項の改正点などを解説した。また、学校法人会計問答集や学校法人委員会研究報告等の解説も加えた。
そのほか、同省私学部から、「学校債の有価証券指定に伴う新しい会計準則について」「地球温暖化対策のためのCO2排出量調査について」の説明、「私立学校の当面の課題」についてなどの解説が行われた。