平成20年1月 第2300号(1月9日)
■私立学校関係政府予算案決まる 対前年度1%減 事前大臣協議で決着
私大等経常費 3248.7億円(32億円減)
政府は昨年十二月二十四日の閣議で平成二十年度政府予算案を決定した。そのうち文部科学省の私立学校関係予算については、同十八日の渡海紀三朗文部科学大臣と額賀福志郎財務大臣との事前大臣協議において、対前年度予算比一%減とすることが決まった。私学団体は夏の要望提出以来、文教関係国会議員をはじめ文科省等に要請活動を展開してきたが、「骨太の方針二〇〇六」に基づく“対前年度比一%減”の壁は突き崩せなかった。その結果、私立大学等経常費補助金は前年度より三一億八二〇〇万円(〇・九七%)減の三二四八億六八〇〇万円、私立高等学校等経常費助成費等補助金は前年度と同額の一〇三八億五〇〇〇万円、私立学校施設・設備の高度化・高機能化の支援は前年度より一三億六五〇〇万円(六・〇%)減の二一四億一八〇〇万円などとなった。(私学団体の活動等、関連記事は2面を参照)
私学助成予算については平成十八年の『経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇六』(骨太の方針)によって、五年間にわたり各年度の予算額を名目値で対前年度比▲一%(年率)とすることを基本とするとの閣議決定があったものの、教育基本法が改正され、私立学校が新たに規定されるとともに、私学助成の重要性もうたわれ、さらに、骨太の方針二〇〇七においては、「基盤的経費の確実な措置」等も強調されたことから、私立大学等経常費補助金については、対前年度七〇億円増の三三五〇億五〇〇〇万円などを要望していた。
全私学連合(安西祐一郎代表)は、九月の福田康夫内閣誕生に伴い就任した自民党三役への予算・税制改正要望実現へ向けた要請のほか、渡海文科大臣をはじめ文科省幹部への要請、さらに、十二月の文教関係国会議員等への要望など、厳しい状況を打破すべく精力的な予算要望の実現に向けた運動を展開した。
しかし、同十八日には、その前年と同様に文科大臣と財務大臣の事前大臣協議において、私立大学等経常費補助金は、対前年度三一億八二〇〇万円(〇・九七%)減となった。
また、私立高等学校等経常費助成費等補助金は、対前年度三〇億円増の一〇六八億五〇〇〇万円を要望していたが、前年度と同額の一〇三八億五〇〇〇万円となった。
このほか、私立学校施設・設備の高度化・高機能化の支援も一三億六五〇〇万円(六・〇%)減額され、私学助成全体では、四五億四七〇〇万円(一・〇%)減の総額四五〇一億三六〇〇万円となった。
平成二十年度の私学関係予算案は次のとおり(一〇万円以下は四捨五入)。
▽私立大学等経常費補助金=対前年度(以下同)三一億八二〇〇万円減の三二四八億六八〇〇万円。(1)一般補助:同三一億八二〇〇万円減の二一三五億九七〇〇万円。(2)特別補助:同額の一一一二億七一〇〇万円…@各大学等の特色を活かせるきめ細かな支援一〇〇五億二九〇〇万円、A新たな学習ニーズ等への対応二八億円、B高等教育機関の質の確保八億円、C特定分野の人材養成支援六三億四二〇〇万円、D定員割れ解消等の改善に取り組んでいる大学等に対する支援八億円。
▽私立高等学校等経常費助成費等補助金=同額の一〇三八億五〇〇〇万円。(1)一般補助:同四億二〇〇〇万円増の九一五億九六〇〇万円。(2)特別補助:同二億二六〇〇万円減の九五億五九〇〇万円など。
▽私立学校教育研究装置等施設整備費補助=同七七〇〇万円減の一二六億三五〇〇万円。(1)私立大学・大学院等教育研究装置施設整備費補助:同七七〇〇万円減の一〇五億五七〇〇万円。(2)私立高等学校等施設高機能化整備費補助:同額の二〇億七八〇〇万円。
▽私立大学等研究設備整備費等補助=同一〇億六三〇〇万円減の六二億六九〇〇万円。(1)私立大学等研究設備等整備費補助:同九億六三〇〇万円減の五二億六九〇〇万円。(2)私立高等学校等IT教育設備整備推進事業:同一億円減の一〇億円。
▽私立学校施設高度化推進事業費補助(利子助成)=同額の一一億七七〇〇万円。
▽日本私立学校振興・共済事業団貸付事業(財政融資資金)=同三億円減の一六三億円。
▽日本私立学校振興・共済事業団補助金=同四八億七〇〇万円増の六五六億九一〇〇万円。(1)事業費補助(長期給付):同四四億七〇〇万円増の六四九億三〇〇〇万円。(2)事務費補助:同一〇〇万円減の三億六〇〇〇万円。(3)特定健康診査等費用補助〈新規〉:四億円。
地域振興に30億円
▽国公私立大学を通じた大学教育改革の支援の充実等=同五五億九九〇〇万円増の六三七億九〇〇〇万円。(1)国公私立大学を通じた大学教育改革の支援の充実:同二一億四二〇〇万円増の一七八億二九〇〇万円。(2)世界最高水準の卓越した教育研究拠点形成と大学院教育の抜本的強化:同四億五七〇〇万円増の四二九億六一〇〇万円。(3)地域振興の核となる大学の構築〈新規〉:三〇億円。
▽教育費負担軽減のための奨学金事業の充実=同八四億八八〇〇万円増の一三〇八億九九〇〇万円(他に財政融資資金四五四一億円)。
▽大学の国際化と国家戦略としての留学生政策の推進=同八億二二〇〇万円増の四二六億二七〇〇万円。
▽幼稚園就園奨励費補助金=同七億五九〇〇万円増の一九二億一二〇〇万円。
▽私立幼稚園施設整備費補助金=同一一〇〇万円減の一一億八〇〇万円など。