平成20年1月 第2299号(1月1日) 2008年新春特集号
■2008年―年頭所感
社会の要請に応えられる大学づくりを
新年明けましておめでとうございます。本年も何卒よろしくお願い申し上げます。
会員の皆様方におかれましては、新たな決意のもと、ご家族共々めでたく新年を迎えられたことと存じ、先ずはお慶び申し上げます。
昨年十一月末に沖縄で本協会秋季総会が開催されましたが、加盟大学も三七七校を数えるに至り、まさに最大の大学団体へと発展を遂げました。
それだけに、会員の皆様方の本協会に対する要望と期待は極めて大きく、その存在と責任は、また甚大であると存じます。
さて、全く先の見えないトンネルの中に入ったようであると言われている私立大学の状況は、ますます加速した少子高齢化によって、さらに深刻な事態となっております。先般の日本私立学校振興・共済事業団の発表でも、すでに約四〇%の大学が定員割れを起こしているということであります。
その上、学生の大都市志向により、入学者は首都圏、近畿圏へと集中しているにもかかわらず、定員割れは埼玉、神奈川、千葉などの南関東から東海にまで及び始めたばかりか、大学数が学生数の増加割合を超え、この一五年間に二〇〇校も増加したことで、競争に拍車がかかっているとも言われております。
そのため、決算において収支が赤字になっている大学は三割以上に上り、さらに、赤字が続いて蓄積資産が枯渇し、破綻の恐れがある法人も出現するであろうと言われており、大変厳しい現状を呈しております。
そこで、私どもは、この難局をどう乗り越え、生き残りを図っていけば良いのでしょうか。
何よりも先ず、学園全体が危機意識を共有し、改めて建学の精神に基づいた教育・研究の改革・充実と、教育の業績評価に基づく意識改革に加え、職員の資質向上等を積極的に推し進め、国立大学の現状はもとより、私立大学の入学志願動向や収入増加方策、支出の効率化など、経営改善方策等にも十分留意研究し、迅速なる対応をしていくことが当面課せられた非常に重要な課題であることと存じます。
このほか、教員免許更新制や教育バウチャー制導入問題、学士課程教育の在り方に加え、国立大学との競合や環境問題等、私たちを取り巻く課題は、新旧山積しております。
どうぞ、会員の皆様方におかれましては、各大学が新しい時代の知の発信拠点として、社会の要請に応えられるよう、一層のご活躍を祈念申し上げます。
本年も何卒ご指導、ご支援の程よろしくお願い申し上げます。