平成19年12月 第2298号(12月19日)
■文化財分科会企画調査会 報告書まとめる
文化審議会文化財分科会企画調査会(石澤良昭会長)では去る十月、企画調査会の報告書を発表した。
これまで、文化財保護行政について、近年では平成六年及び同十三年に文化財保護行政全体を通じた総合的な政策の検討が行われてきた。
今回の企画調査会では、特定の文化財の類型を越えた共通的な課題として、特に検討が必要と思われる「文化財を総合的に把握するための方策」、「社会全体で文化財を継承していくための方策」について、検討を行ってきたもの。
施策内容の概要は次のとおり。
一、文化財を総合的に把握するための方策
(1)、関連する文化財とその周辺の環境を一体としてとらえるための方策―文化財の総合的な把握と保存・活用により地域の歴史・文化を保護する枠組みづくり
市町村において、文化財を周辺環境も含め総合的に保存・活用するための方針を定める「歴史文化基本構想」を策定。また、その根拠規定を法律に位置づけることを検討する。
歴史文化基本構想の中で、関連する有形・無形の文化財を「関連文化財群」と位置づけ、総合的に保存・活用する。
文化財が特定地域に集中している場合、関連文化財群を核として、文化的な空間を創出する「歴史文化保存活用区域」として設定する。
関連文化財群ごとに、保存・活用の在り方について定める保存活用(管理)計画を策定する。
モデルケースとして歴史文化基本構想の策定を支援する。
(2)、文化財の保存・活用を適正化するための方策―国指定文化財を総合的に保存・活用するための方策
文化財類型ごとの保存・活用の方針を明確化する。
保存活用(管理)計画の策定を保進する。
文化財に関する情報を的確に把握する。
二、社会全体で文化財を継承していくための方策
(1)、文化財に対する親しみを深めるための方策
文化財の優れた公開・活用の取組について、情報発信する。
子どもたちが文化財に親しむ機会の充実を図る。
文化財保護における広報の強化を図る。
(2)、文化財保護にかかわる人材を確保するための方策
人々の文化財保護活動に対する支援の枠組みづくりを図る。
地域における優れた人材育成の取組について情報発信をする。
(3)、文化財保護に対する支援を充実させるための方策
文化財保護に関する寄附の促進を図る。
行政とNPO法人等民間団体とのパートナーシップを促進する。
優れた事例について、情報の発信をする。