平成19年12月 第2298号(12月19日)
■「ゆとり教育」からの転換 PISA2006全国学力テストを分析・検討
文科省は、去る十二月四日にOECD生徒の学習到達度調査(PISA2006)の結果について取りまとめ公表した。また、先頃公表された全国学力・学習状況調査の結果について、分析・活用の推進に関する専門家検討会議を、去る十二月十日に開催した。理数系科目での学力・関心の低下や、知識・技能を活用する力に課題がある、といった結果を踏まえて、「ゆとり教育」の見直しを検討した。次期学習指導要領の改訂にも影響が及びそうだ。
このたびOECDが行った二○○六年生徒の学習到達度調査は、五七か国・地域から四○万人の一五歳児が参加した。「読解力」、「数学的リテラシー」、「科学的リテラシー」の三分野から学習到達度問題を実施、日本では高校一年生が対象となり、全国一八五学科、約六○○○人の生徒が参加した。
全参加国中、日本の分野別の結果は、「読解力」では一五位、「数学的リテラシー」では一○位、「科学的リテラシー」では六位、と前回調査と比較して順位を下げた。また、質問紙による調査の結果、科学への興味・関心や楽しさを感じている生徒の割合が低く、観察・実験などを重視した理科の授業を受けていると認識している生徒の割合が低いことなどがわかった。
一方、去る十月に発表された「平成十九年度全国学力・学習状況調査」の結果については本紙二二九六号にて取り上げているように、結果をどのように活用するのかということが議論されている。これを踏まえ、文科省は全国学力・学習状況調査の分析・活用の推進に関する専門家検討会議を設置した。同会議の第一回開催では、当面の検討事項として、質問紙調査の内容の見直し、各都道府県・政令指定都市の検証改善委員会における分析結果・取組事項の収集・整理、といった案を提示している。同時に、分析ワーキンググループを設置し、より専門的に検討する構えとした。
また、「生徒・児童の習慣・家庭環境の面からの相関分析」、「成果を挙げている地域・学校の取組の専門的分析」、「授業の実時間を記録するなどの分析」といった分析手法の案も出されており、一連の調査結果を学習指導要領などにいかにフィードバックできるか検討に入った。