平成19年12月 第2298号(12月19日)
■科研費の不正防止に関する説明会
文部科学省は、十二月十一日、東京大学・安田講堂で「科学研究費補助金に係る不正使用等の防止等に関する説明会」を開いた。
文科省では、これまで補助金の機関管理の義務化、内部監査の義務化、使用ルールの周知徹底など、通知や会議等を通じて要請してきたが、このほど、会計検査院による平成十八年度決算検査報告において『二大学において、教員が業者に虚偽の書類を作成させるなどして、架空の取引により大学から購入代金を支払わせ、その資金を納入業者に預け別途に経理し、試薬、器具等の購入代金等の支払いに充てたりしていた』と二年連続して指摘された。
また、科研費の応募に際しては、去る十一月十五日までに「管理・監査のガイドライン(実施基準)」に基づく体制整備等の実施状況報告書が提出されたが、不正な使用又は不適切な経理等の事例が見受けられることから、改めて「科研費補助金の不正使用防止対策の対応状況チェック票」による自己点検を行ってもらい、そのチェック票を提出してもらうことにした。チェック票では、@適正な補助金の執行管理の徹底、A旅費支出の適正化、B謝金支出の適正化、C研究者によるルールの遵守、D内部監査の実施、E取引業者に対する不正防止策の実施などをチェックする。
そのほか、繰越制度について、平成十八年度は六四一件(十七年度は五五件)と大幅に制度の利用が増えたが、この制度は、未然に回避することができない外部的要因により、当初の研究計画を変更しなければならない場合等に、研究費を翌年度に繰り越すことができるものであり、単に「経費が余ったから」とか「研究者の自己都合」などは繰越制度利用に該当しない。
また、平成二十年度の応募から、研究組織の構成について、研究分担者(分担金の配分を受ける者)、連携研究者(分担金の配分を受けない者)の区分を新設し、その違いを明確に示し、当該した研究者に周知するよう促した。