平成19年12月 第2297号(12月5日)
■史跡名勝天然記念物 新指定に20件など
文化審議会(石澤良昭会長)は十一月十六日、文部科学大臣に史跡名勝天然記念物の新指定二〇件、追加指定等一五件、重要文化的景観の新選定三件、登録記念物の新登録三件について答申した。
史跡
鳥海山大物忌神社境内(山形県飽海郡遊佐町)
古代にあっては国家の守護神として、近世以降は農業神として崇敬された。
足尾銅山跡、通洞坑、宇都野火薬庫跡(栃木県日光市)
我が国を代表する銅鉱山。昭和四十八年に閉山。
免鳥長山古墳(福井県福井市)
五世紀前半に築造された帆立貝式古墳で、古墳時代中期の北陸地方で最大級の大首長墓。
大鹿窪遺跡(静岡県富士郡芝川町)
国内では最多となる一四軒の住居跡を検出した、縄文時代草創期の集落跡。
彦根藩主井伊家墓所(滋賀県彦根市、同県東近江市、東京都世田谷区)
江戸時代、彦根藩三〇万石を領し、譜代大名筆頭として幕政に関与した井伊家の墓所。
和泉黄金塚古墳(大阪府和泉市)
大阪府の南部、泉州地域に所存する、古墳時代前期末の墳長九四メートルの前方後円墳。
河内寺廃寺跡(大阪府東大阪市)
七世紀中頃に渡来系氏族より創建された、河内地方を代表する四天王寺式の古代寺院。
青谷上寺地遺跡(鳥取県鳥取市)
鳥取県の中央部に位置する、弥生時代の居住域と水田域とがセットで遺存している集落跡。
若桜鬼ヶ城跡(鳥取県八頭郡若桜町)
山陰地方を代表する中世から近世初期にかけての山城。
大谷・定古墳群(岡山県真庭市)
特徴的な墓制を共有する古墳群。
彦崎貝塚(岡山県岡山市)
縄文時代前期から晩期にかけての集落構造とその変遷過程が判明した旧児島湾南岸の大規模貝塚。
中寺廃寺跡(香川県多度郡まんのう町)
讃岐山脈の山深い山中にある平安時代の山岳寺院。
等妙寺旧境内(愛媛県北宇和郡鬼北町)
鎌倉仏教の戒律復興運動の具体的な様相を示す、中世の天台律宗寺院。
佐敷城跡(熊本県葦北郡芦北町)
肥後を治めた豊臣恩顧の大名である加藤清正が薩摩との国境防備のため築いた城跡。
広田遺跡(鹿児島県熊毛郡南種子町)
種子島南東部の海岸砂丘上に営まれた、弥生時代後期後半から古墳時代の墓地遺跡。
名勝
旧朝倉文夫氏庭園(東京都台東区)
日本近代彫塑界の巨匠である朝倉文夫の自邸・アトリエの庭園。
天然記念物
小笠原南島の沈水カルスト地形(東京都小笠原村)
沈水カルスト地形として稀少であり、小笠原諸島の成り立ちを語る上で重要。
志賀高原石の湯のゲンジボタル生息地(長野県下高井郡山ノ内町)
ゲンジボタルの生育地として、高標高地、発生期間の長さなど他地域にない特徴を有し重要。
甲原松尾山のタチバナ群落(高知県土佐市)
古くから親しまれ、遺伝資源としても重要なタチバナの最大規模の群落として貴重。
大和浜のオキナワウラジロガシ林(鹿児島県大島郡大和村)
琉球列島の代表的森林を形成し、北限域の奄美大島で数少ない自然林として貴重。
重要文化的景観
遠野、荒川高原牧場(岩手県遠野市)
『遠野物語』の原点を成す「馬」・「馬産」に関する代表的な放牧の文化的景観。
高島市海津・西浜・知内の水辺景観(滋賀県高島市)
古来より北陸道や琵琶湖の湖上交通を背景として、輸送や商業活動、それに携わる人々の流通・往来が生み出した文化的景観。
小鹿田焼の里(大分県日田市)
英彦山系の狭隘な谷間で営まれる窯業・農林業による生活・生業で形成される文化的景観。
登録記念物(名勝地関係)
物外軒庭園(栃木県足利市)
近代の邸宅庭園の意匠や足利の茶の湯文化を現在に伝える、足利屈指の豪商の庭園。
梶原氏(西梶原)庭園(兵庫県姫路市)
播州地方の近世塩田家の住民庭園に起源し、近代に整備された枯山水庭園の主庭園及び複数の露地庭とその関連施設から成る庭園。
石谷氏庭園(鳥取県八頭郡市智頭町)
近代の豪商の邸宅における庭園の意匠及び構成の特徴をよく遺す智頭宿の庭園。