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平成19年11月 第2296号(11月21日)

転職先最多は国内大学研究者 ポスドク進路動向調査まとまる

 ポスドク転職者の進路で最も多いのは、国内大学の研究者―科学技術政策研究所では、このたび、ポストドクターとして研究活動に従事していた者の進路動向を調査し、とりまとめた。概要は次の通り。

 同調査は、文部科学省の平成十八年度「科学技術関係人材のキャリアパス多様化促進事業」に採択された八機関(北大、東北大、理研、早大、名大、阪大、山口大、九大)の協力の下、当該機関に所属していたポストドクター(以下、PD)の平成十七年度終了直後の進路動向を明らかにするために実施したもので、わが国において、複数機関のPD全体の進路を明らかにしたのはこのたびが初めて。
 なお、「ポストドクター」とは、同調査においては、@博士号取得者、又は博士課程満期退学者、A大学等で任期付きで研究業務に従事している者(当該機関との雇用関係がなく賃金の支払いを受けていない者、謝金による支払いを受けている者、人材派遣会社からの派遣も含む)、B教授・助教授・講師・助手などのポストについていない者、C研究グループのリーダー・主任研究員などのポストについていない等の条件を満たす者を指す。
 進路に関する情報が得られたPDの数は三八七〇名で、我が国のPDの総数約一万五〇〇〇人のおよそ四分の一に当たった。研究室の長や各機関の事務方に記入してもらう方法で調査した。
 その結果は、平成十七年度終了直後に「同一機関にPDとして所属している者」は六七%、「他機関のPDになった者」は八%、「PD以外の職に就いた者」は一九%、転出したが「職業不明の者」は六%であった。
 そのうち、「PD以外の職についた者(転職者)」のうち、八二%が研究・開発者(機関種別では、国内の学術研究機関五〇%、国内の民間企業九%)になっている。その中で最も多いのは大学研究者で、助手一九・七%、講師(常勤)六・六%、助教授(常勤)四・〇%、教授(常勤)〇・三%、その他の大学教員七・六%、教員以外の研究者五・二%であった。また、専門知識を要する職(教員、医師等、知的財産関連職、産学連携コーディネーター、科学技術コミュニケーター等)には九%の者が就いている。なお、転職者の所属機関において、「国内の学術研究機関」の内訳は、国立大学法人が四二・二%、公立大学が三・九%、私立大学が一三・八%、大学共同利用機関が〇・九%、高専・短大が一・一%、公的研究機関が八・三%であった。
 同一機関にPDとして所属していない者の進路動向の特徴は、まず、国籍別に移動先を見ると、日本国籍の者では、日本国内に留まる者が七二%、次いで米国に行くものが多い(七%)。日本国籍以外の者では、日本に留まる者が二四%、次いで中国(二〇%)や韓国(七・三%)などアジア地域に行く者が多い。女性は、「大学研究者(国内)」になる比率が男性よりも低く、また、「無職」や「不明」となる比率が高い。
 年齢から見ると、年齢が上がるに伴い「他機関のPD」の比率が三二%から一〇%に低下し、「国内以外の研究・開発者」の比率が七%から二〇%に、「職業不明」の比率が一二%から二七%に高まることが特徴的である。
 研究分野別に進路動向を比較すると、「理学」系は海外も含め、他機関のPDになる比率が高く、「工学」系では、「民間企業の研究・開発者」や「国内以外の研究・開発者」になる割合が高い。また、「人社」系では、「大学研究者」になる比率が高く、「保健」系は、「専門知識を要する職」(ほとんどが医師等)に就く者の比率が高い。

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