平成19年11月 第2296号(11月21日)
■初等中等教育分科会の審議 教育課程部会・教員養成部会
中央教育審議会では、別掲の教育振興基本計画特別部会のほか、初等中等教育分科会の教育課程部会、教員養成部会がそれぞれ活発な審議を展開している。
教育課程部会
教育課程部会は、このほど、次期学習指導要領の基となる教育課程の基本的枠組みや教科・科目内容等について「教育課程部会におけるこれまでの審議のまとめ」として公表した。
「生きる力」の育成を堅持しつつ「確かな学力」を身につけさせるため、小・中学校では主要教科の授業を約一割増やし、小学校五・六年生には外国語(英語)活動を必修にする。一方、総合的な学習や選択教科を縮減することになり、昭和五十二年改訂の“ゆとりある学校生活の実現”以来、授業時数が三〇年ぶりに増加することになる。
そのうち、高校の教育課程の枠組みでは、義務教育で身につけた素養を発展させ、学問研究や技術の習得に結びつけていく観点から、@知識・技能を活用する学習活動の重視、A義務教育と高校との系統性を重視した接続、B道徳教育の充実や健やかな心身の育成の指導充実の三点を重視している。
必履修教科・科目の在り方では、国語・数学・外国語について、現行の「選択必履修」に替えて「共通必履修科目」を設定する。また、地理歴史・公民・理科について、現行どおり「選択必履修」とすることが適当であるとしている。
また、小・中・高校とも現行の「学校週五日制」の維持が適当であるとした。
次に、高校の各教科・科目等の内容のうち、主な変更点は、▽国語=国語総合(共通必履修、国語総合を改善)、国語表現(国語表現I、国語表現IIを再構成)、現代文A(近代以降)、現代文B(現代文を改善)、古典A(古典講読を改善)、古典B(古典を改善)、▽数学=数学I(共通必履修とする)、数学活用(数学と人間活動などで構成)、▽理科=現行の一一科目を「科学と人間生活」(新設)のほか、物理基礎、化学基礎、生物基礎、地学基礎、物理、化学、生物、地学、課題研究の一〇科目に再編成、▽外国語=六科目から七科目に改編。コミュニケーション英語基礎のほか、コミュニケーション英語I(共通必履修とする)、II、III、英語会話、英語表現I、IIなどである。
なお、まとめの最後に、「企業や大学等に求めるもの」として、企業には@子どもたちが将来を見通して希望をもって学習に取組むことができるよう、人材育成を重視した雇用環境の整備、A子どもたちを取巻く環境への配慮を促した。大学には、特に大学入試の改善として@入学者選抜の改善、A記述式など思考力・判断力・表現力等を問う出題の充実、B学士課程教育等での学力の水準を確保するとともに、生徒・学生が目標をもって学習に取組むことができるような改善・工夫の検討などを訴えている。(2面に関連記事)
教員養成部会
教員養成部会の教員免許更新制等ワーキンググループは、十一月二十日、教員免許更新制の運用に係る関係団体からの多様な意見に対する対応策について審議した。
意見提出があったのは、大学団体からは日本私立大学団体連合会から、そのほか小・中・高校団体や校長会、教育委員会等、二二団体で、それぞれの意見を二二四項目にわたって分類し対応策を審議した。
そのうち、日本私立大学団体連合会からの五点にわたる意見については次のような対応が協議された。
▽「認定課程を有しない大学の講習能力の判定」には、「講師、講習内容等の認定要件に合致しているか確認するとともに、事前調査、事後評価とその公表により質の確保を図る」
▽「NPO法人や営利法人の更新講習の開設は適当でない」には、「慎重に検討することが必要と考えている」
▽「講習は免許状の有効期間の更新の可否を問うものであり、(五段階の)段階評価は相容れない」には、「修了認定にあたって公平性を担保するため五段階の基準を示したものであり、修了認定自体を五段階に分けて行うことを意図してはいない。今後、本人開示の是非及びその方法について検討したい」
▽「教員の資質の判断は教育委員会が行うべきであり、教育委員会と大学等の修了認定に係る責任分担を明示されたい」には、「更新講習は、教員が最新の知識技能を修得するためのものであり、適格性の判断を行なうものではない。また、修了認定は、教職課程において単位認定されるのと同様、大学等の講習開設者の責任において行う」
▽「大学等の講習開設者及び受講者の経費負担について、十分な補助策の検討を」には、「受講費用は個人負担となり、軽減について検討するが、開設者の体制整備のための財源措置は検討していない」
などとしている。
今後、更に検討を重ねていくことになる。