平成19年10月 第2292号(10月17日)
■持続可能なアジアを実現
論点整理(案)まとめる
環境省では、「日本を含むアジアにおいて自らの体験や倫理感を基盤とし、環境問題の重要性・緊急性について自ら考え、各人の専門性を活かして職業等を通じて持続可能な社会づくりに取り組む強い意志を持ち、行動する人材(環境人材)」の育成に必要な方策の検討を行っているが、このたび、「持続可能なアジアに向けた大学における環境人材育成ビジョン」について、論点整理(案)をとりまとめた。同論点整理はパブリックコメント中である。
「持続可能なアジアに向けた大学における環境人材育成ビジョン」論点整理(案)
持続可能なアジアを実現するためには、あらゆる分野での社会的・技術的なイノベーションの創出・推進が求められている。自らの体験や倫理感を基盤とし、環境問題の重要性・緊急性について自ら考え、各人の専門性を活かした職業生活ないし職場活動等を通じて持続可能な社会づくりに取り組む強い意志を持ち、行動する人材を、同ビジョンでは特に「環境人材」と呼ぶ。
一方、人材育成の観点から大学に期待される役割と課題は、@社会の人材ニーズの把握と充足、A新しい仕組みを生み出す起業家的人材等の創出、Bアジアの知見、経験の共有等である。
また、効果的な環境人材の育成に向けて、各資質の育成に適した教育の内容、手法を選択・実施していくことが必要である。その際、「関心の喚起→多様な視点への寛容性と意見交流→理解の深化→参加意欲・態度の強化→問題解決能力の育成→具体的行動を促す」という持続可能な開発のための教育(ESD)の考え方を踏まえることが望ましい。
人材育成側である大学と、人材受け入れ側の企業、行政、NPO、シンクタンク、国際機関等との間で、人材ニーズ、育成方策、活用方策等についてすりあわせを行い、各分野で連携を推進することがよりよい環境人材の育成につながる。また、個々の大学がもつ強み・弱みを補完し合うようなプログラムの開発が望ましい。さらに、多種多様なインターンの受け入れ先や専門分野や現場経験が異なる外部講師の招聘等のマッチングにはかなりの調整が必要であるため、マッチング機関が不可欠である。このような観点から、大学と民間企業、行政、NPO等の連携を促す高等教育機関における環境人材育成のためのコンソーシアムの立ち上げが有効であると考えられる。さらに、こうした環境人材の社会での活用を促進するための仕組みづくりも重要である。そのため、@採用側にとって参照しやすい環境系資格の充実、A認証・推薦などによる環境人材や環境人材育成プログラムの支援、B環境人材育成プログラムへの第三者評価制度、C環境人材の事業企画などに対する表彰等の実施が考えられる。
なお、意見提出方法は、同論点整理の内容を踏まえた上で、次の質問等への意見として募集している。
質問@ひとづくりの分野、ものづくりの分野、しくみづくりの分野のそれぞれにおいて、環境人材の活躍が期待される職種・職業人で強調すべきものは何か。
質問A環境人材が備えるべき資質として、具体的な能力や力は何か。
質問B企業等の社会の環境人材受け入れ状況及び今後の受け入れのあり方にはどのようなものがあるか。
質問C大学における環境人材育成の課題とは何か。
質問D環境人材が備えるべき資質を育む教育の内容及び手法として、どのようなものが推奨できるか。
質問E大学と企業等が連携して行う人材育成のプログラム・仕組みについて、何が挙げられるか。
質問F環境人材の社会への受け入れを促進するための手法に何があるか。
質問G社会人の環境人材育成の手法に何があるか。
質問Hこの他、環境人材の育成に向けた意見、地域を拠点にした連携や取り組みへの提案など。