平成19年9月 第2289号(9月26日)
■渡海紀三朗文科大臣 大学で"確固たる能力"を
九月二十五日、国会での首相指名を受けて、第九一代目の首相に福田康夫自民党総裁が就任した。伊吹文明前文部科学大臣が自民党の幹事長に就任したことから、後任の文部科学大臣には、渡海紀三朗前自民党政調会長代理が新任された。
二十六日に、文部科学省で行われた記者会見で、記者からの質問に答えた渡海文科大臣の発言は次のとおり。
―福田新総理から指名された時の感想は?
重厚な伊吹大臣の後任ということで、いささか緊張した。自分の持ち味を最大限活かし、国家一〇〇年の計である教育にしっかり取り組んでいきたい。教育基本法の改正、教育関連三法の改正などが進められ、いよいよ来年の予算に向けてのふんばり所と承知している。また、最近まで科学技術創造立国調査会会長を務めるなど、進んで取り組んできた科学技術政策が、日本の将来に欠かせないものであると思っている。
―安倍内閣が最重要の課題として掲げた教育再生については、今後どのようなスタンスで臨むのか?
言うまでもなく、教育は国家を支える柱である。山谷えり子首相補佐官が再任され、教育再生会議も継続される見通しと思う。目下のところやや停滞気味だが、スケジュール等今後決めていくことになるので、よく相談して進めていきたい。教育の重要ポイントは、先生の質の向上と教育環境の整備にあると思う。予算縮減の流れだが、必要なところには目配りしていきたい。
―教育振興基本計画についてのお考えは?
中央教育審議会等の議論で、ある程度の方向は定まっていると思う。概算要求にも盛り込まれている部分もある。具体的事項をよく見定めて、年度末までに取りまとめたいと考えている。
―高等教育についてのお考えは?
少子化等で大学全入時代の到来を承知している。単に大学に行けばよいというのではなく、しっかり勉強して、「大学でこんな能力が身についた」といえるような改革をしていきたい。
―近年、インドや中国等のアジア地区の科学競争力が向上している。日本の競争力を上げていくためにはどうすればよいのか?
一つは人間(研究者)づくりであり、もう一つは育成システムづくりである。また、研究環境の改善・充実も重要となる。中国等の研究開発への投資額は日本を上回っており、選択と集中で強い分野を更に強くしていきたい。