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平成19年9月 第2289号(9月26日)

留学生担当者協議会を開催 167大学から212名が参加して協議

   出入国管理行政と留学生問題など

 日本私立大学協会(大沼 淳会長)は、去る九月二十五日(金)、東京・市ヶ谷のアルカディア市ヶ谷において、第六回(平成十九年度)「留学生担当者協議会」を開催した。同協議会は、同協会の国際交流委員会(担当理事=森田嘉一京都外国語大学理事長・総長)が準備を進めてきたものである。協議事項は、出入国管理と留学生の現状、留学生別科出願書類の真偽、留学生交流の現状と関係予算についての講演や事例報告等で、文部科学省、法務省の担当官等が解説した。また、協議の終了後には、入管ごとに分かれての情報交換会も行われた。なお、協議会には加盟校から一六七大学二一二名が出席した。

 はじめに森田担当理事が「平成十七年に留学生が一二万人を超え、その多くを私立大学が担っている。今後は“量より質”との議論もあるが、留学生の管理がますます重要になっており、その体制整備には補助金の確保も大事になる。今日は、法務省の担当官には出入国管理と留学生に係る諸問題を、文科省の担当官には留学生交流の現状と関係予算などの講演をお願いした。また、協 議の終了後には情報交換の機会も用意したので、実りある成果を期待している」との挨拶をした。
 さらに、文科省の池田輝司高等教育局学生支援課留学生交流室室長が挨拶に立ち「平成二十年度の留学生交流事業については、政府の各種会議等での提言もあり、文科省としては近年になく大きな予算を要求している。留学生の交流は大学の国際化の柱である」と述べるとともに、同協会の留学生関連事業が「昭和五十八年の“留学生一〇万人計画”の二年も前に立ち上げられた」と同協会の取組みを賞賛した。
 講演に移り、法務省の中山昌秋入国管理局入国在留課法務専門官が「出入国管理行政の現状と留学生に係る諸問題について」と題して、ビデオのほかデータ等を用いて解説を行った。
 同氏は、留学生の入国審査の流れをビデオで解説し、次に、留学生の入国・在留の現状を@在留資格認定証明書交付申請、A新規入国者・外国人登録者、B不法在留者数、C留学生の犯罪の視点から説明した。特に、不法在留者については、留学の在留資格の者が七四四八人(平成十九年)で、その内訳は中国六四七二人(八六・九%)、韓国四二五人(五・七%)、スリランカ一〇七人(一・四%)、ベトナム九六人(一・三%)などとなっていること、また、国籍(出身地)別の不法残留者数(留学以外の全ての在留資格も含む)では韓国二一・三%、フィリピン一六・七%、中国一六・二%などとなっていることも併せて紹介した。
 次に、留学生の在籍管理等について、@定期報告、A入学選考、B在籍管理、C生活指導の視点から説明した。特に入学後の留学生の資格外活動のアルバイト等のチェックをはじめ、日常の生活指導が重要であると強調した。
 そのほか、留学生に対する入学選考の在り方など、今後の課題についても触れた上で、「真に我が国で勉学に励みたい留学生を迎え入れてほしい」と結んだ。
 事例報告に入り、「留学生別科出願書類の真偽確認について」と題して、桜美林大学日本言語文化学院(留学生別科)事務室の濱裕樹氏が発表した。
 同氏は、同大学の留学生別科の概要、募集内容等を説明した上で、出願書類の真偽確認方法を解説した。
 まず、中国の大学卒業事実の確認では、中国教育部のホームページを活用した本人確認、中国の高校の成績表による確認では、履修していないはずの科目の成績評価記載などによるチェック、さらに、預金通帳の確認では、金額・日付・内容等に明らかに記載の不合理な部分等を挙げた。
 また、在留資格認定証明書交付申請の現状については、偽変造書類の発見につとめ、住所等に疑いのあるケースはきちんと確認しているが、真に日本で学びたいと望む留学生の気持ちも大事にしていきたい、などと語った。
 協議の最後に、文科省高等教育局学生支援課留学生交流室室長補佐の織田雄一氏が「我が国の留学生交流の現状と関係予算について」と題して発表した。
 同氏は、はじめに留学生交流推進に係る今後の対応として、広報の充実・学力や勉学意欲の判定(受入前)、優秀な学生への学習奨励費の給付・留学生宿舎の充実(在学中)、帰国した元国費留学生のフォローアップの強化(卒業後)などが大事であると述べた。
 そのほか、留学生数の推移、出身国・地域別留学生数、国公私別・在学段階別留学生数、主要国の留学生の受入れ状況、日本人学生の海外留学状況と主な留学先(アメリカ四万二〇〇〇人、中国一万九一〇〇人、イギリス六四〇〇人、オーストラリア三二〇〇人、ドイツ二五〇〇人など)等のデータを解説した。
 また、平成二十年度留学生交流関係予算概算要求の四七九億円(対前年度予算七二億円増)について、次の内容を説明した。
 (1)外国人留学生奨学金制度の充実二八〇億円=@国費外国人留学生制度二五五億円、A短期外国人留学生支援制度(新規)二一億円
 (2)私費外国人留学生等への援助一二六億円=@私費外国人留学生等学習奨励費九一億円、A授業料減免学校法人援助三五億円
 (3)留学生宿舎の確保等受入体制の充実五八億円=@留学生宿舎事業一二億円、A日本留学試験の利活用の促進三億三〇〇〇万円、B日本留学フェア等情報発信の充実一億円、C地域交流に対する支援八〇〇〇万円、D留学生関係団体への支援等一三億円、Eその他(留学生宿舎運営委託費、留学生交流推進事業等)
 (4)日本人学生の海外留学の支援一四億円=@長期海外留学支援七億円、A短期留学推進制度七億円
 そのほか、私立大学経常費補助金の概算要求等にも幅広く言及した。
 協議終了後には、会場を移し、講師等を交じえて情報交換会が開かれ、全日程を終了した。
 

 

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