Home日本私立大学協会私学高等教育研究所教育学術新聞加盟大学専用サイト
教育学術オンライン

平成19年9月 第2287号(9月12日)

中四国支部、東北支部で研修会開催 当面する課題を協議

 去る八月二十一日・二十二日に日本私立大学協会中国・四国支部(支部長=石田恒夫広島経済大学理事長・学長)では、下関市の下関グランドホテルにおいて平成十九年度分科会を開催、また、八月三十日・三十一日には同協会東北支部(支部長=高柳元明東北薬科大学理事長・学長)では、福島県いわき市の小名浜オーシャンホテル&ゴルフクラブで平成十九度事務研修会を開催した。私立大学を取り巻く環境が厳しさを増す中、各研修会では多くの議題を協議した。

中国・四国支部=分科会
 日本私立大学協会中国・四国支部では、平成十九年度分科会(事務局長相当者、就職部課長相当者、教務部課長相当者、学生生活指導部課長相当者、経理部課長相当者)を八月二十一日、二十二日の二日間にわたり、梅光学院大学を当番校に下関グランドホテルにおいて開催した。
 この分科会は、昭和五十八年十一月に開催されて以来二五回目を迎えるが、本年は二九大学から一二七名の出席のもと、熱心に研修が進められた。
 最初に石田支部長から、「私立大学を取り巻く環境は、ますます厳しさを増している。本日ここに集まった大学が、各々の大学の建学の精神を十分発揮し、お互い切磋琢磨しながら共存の道を選びたい。職員の意欲・資質が、大学の将来を決める。充分な情報交換をし、実り多い研修会となるよう期待する」という挨拶があった。その後、当番大学の梅光学院大学の山田宏理事長から歓迎の挨拶、中尾光宏同大学事務局長のオリエンテーション、平岡建二支部事務局長から分科会の運営についての説明、座長の紹介と進められ、講演に移った。
 基調講演は、小出秀文同協会事務局長より「私学振興上の諸情勢と当面する重要課題について」と題して行われた。小出事務局長は、高等教育の展開状況と今日的課題、教育改革関連の動向、私学経営を巡る諸問題、大学評価・第三者評価の現状等、私立大学関係政府予算・税制改正関係等について資料に沿って詳細な解説を行った。
 続いて、法政大学学事顧問の清成忠男氏により、「全入時代のマーケティングと職員のあり方」と題した講演が行われた。マーケティングの必要性を説き、志願者・入学者動向の特徴についてグラフを駆使して説明した後、経営者のリーダーシップ、教員の教育力の向上、職員の役割等々に至るまで、大所高所からの多くの示唆に富んだ話が加えられ、出席者一同は興味深く聞き入った。
 休憩の後、会場を移して五つの小分科会に分かれて研修が行われた。
 事務局長相当者分科会では、教職員の人事評価制度の導入、職員の事務研修、職員の教育面への関わり、目標管理制度の実施状況、法定伝染病への対応、認証評価への取組、公的研究費の管理・監督のガイドライン、目的予算制度、大学の機能分化、などについて。就職部課長相当者分科会では、採用活動の早期化に関する問題点、内々定、入社誓約書及び内定辞退に関する問題点、学生への情報伝達の手段、就職活動状況を把握する手段、就職支援における教員と職員の連携についての事例、低学年からのキャリア形成支援の事例、などについて。教務部課長相当者分科会では、履修指導、カリキュラム改革、入学生の多様化への対応、GPA制度、学生による授業評価、学生の出席管理システム、授業時数の確保、単位不認定者等に対する指導、麻疹の流行に対する対応状況、社会人に対する教育、などについて。学生生活指導部課長相当者分科会では、交通マナー、学習支援、学生寮の運営、大学祭の職員の関わり、ボランティアの養成、情報管理、事務処理、危機管理、などについて。経理部課長相当者分科会では、会計、予算、経費削減、学費、など、それぞれ多くの提案された議題について熱心に討議が進められた。
 夕刻からは教育懇談会に移り、和やかな雰囲気の情報交換の場となり、一日目の日程が終了した。
 二日目は、株式会社山田事務所代表取締役会長・山口経済同友会代表幹事の山田 宏氏により「大学はだれのものか」と題して講演が行われた。人口減少社会、道州制について話が進められ、同窓会、維持会の大切さを説いた。大学は地域の産業として育たなくてはならないし、地域の経済界から支援を受けるような大学でなくてはならない。大学は地域のものと言い切っても良いのではないかと結ぶと、会場から多くの拍手が沸き起こった。
 その後、岡崎新太郎梅光学院大学学院長から研修のまとめの挨拶があった後、昨日に引き続いて分科会が開催され、再び熱心に意見交換が行われ、二日間にわたる分科会を終了した。

東北支部=事務研修会
 日本私立大学協会東北支部は、去る八月三十日、三十一日の両日、福島県いわき市の「小名浜オーシャンホテル&ゴルフクラブ」を会場に、平成十九年度東北支部事務研修会を開催した。本年度は、当番大学のいわき明星大学の協力を得て、二一大学から七九名が参加して研修を行った。
 開会式では、高柳支部長に代わり、鈴木 征運営委員長(東北薬科大学事務局長)と、高重正明いわき明星大学学長がそれぞれ挨拶をした。挨拶の中で鈴木運営委員長は、「自分が勤務している大学が社会に果たすべき役割と責任を考え、また、事務職員として大学の充実発展のためにどう関わるべきかを考えて欲しい。本研修会で、なにかひとつでも成果を持ち帰り実践してもらいたい」と挨拶した。
 続いて、高重学長が、歓迎の言葉とともに、二日間有意義な研修となるよう期待すると挨拶を述べた。
 初日の全体会では、いわき明星大学薬学部長の田中晴雄氏による「エイズとその周辺」と題した特別講演が行われた。エイズウイルス出現から感染、発症までの過程を解説し、日本では感染者が増加中であることや、感染予防対策として、HIVに関する正しい知識を得ることが重要であると述べた。
 産学協同で予防薬を開発中であり、研究者と事務職員を含めた研究スタッフとの連携が新薬開発の鍵になるということを述べ、大学における教員と事務職員の協力体制の重要性を強く主張した。
 その後、休憩をはさんで四分科会に分かれて研究協議課題に基づいて熱心な討議が行われた。共通テーマ「危機管理対策について」とした各分科会の研究協議課題の概要は次のとおり。
 ▽第一分科会(総務・庶務関係)では、「超過勤務の実態とその問題点について」、「第三者評価に対する取組について」、「施設管理について」、「私有車による出張とその問題点」の四課題。▽第二分科会(経理関係)では、「学費の延納等について」、「交通費等の支給について(出張・通勤手当・外部講師の謝金・交通費等)」、「業務分担について」の三課題。▽第三分科会(教務関係)では、「学籍異動及び休学・退学者への対応について」、「FD・SD及び授業評価について」、「履修及び単位取得について」、「学生及び父兄に対する対応(学習意欲低下の学生)について」の四課題。▽第四分科会(学生関係)では、「退学防止策について」、「就職支援やキャリア教育のあり方について」、「学友会と学生課の連携について」、「規則違反等に関する指導のあり方について」の四課題。
 各大学の実情の報告や活発な意見交換により、熱心な研修が行われ、初日の研修が終了した。
 夕刻からは懇親会が開催され、アトラクションでは、常磐ハワイアンセンターのフラガールによる踊りが披露されるなど、楽しいひとときを過ごすとともに、参加者同士の情報交換が行われた。
 二日目は、同協会の小出秀文事務局長による「高等教育情勢と私学振興上の今日的課題について」と題した講演が行われ、地域に根ざした大学であることの重要性、特色のある大学づくり、大学構成員による学生の人間教育と育成が重要であること、また一八歳人口の減少期である今日の生涯学習対応型として団塊の世代(シニア世代)を大学に受け入れる方策など、詳細な解説があった。
 講演終了後、各分科会の研究協議課題について報告者四名により討議内容の概略が発表された。
 閉会式では、鈴木運営委員長から参加者への労いの言葉と、これからも事務職員としての研鑽を積むよう激励があった。時代の潮流変化を見極めながら、さらに充実した研修会にしていきたいとの次年度以降の方針が述べられ、二日間の研修日程を終了した。
 なお、来年度の東北支部事務研修会は、東日本国際大学が当番大学として開催する予定。

Page Top