Home日本私立大学協会私学高等教育研究所教育学術新聞加盟大学専用サイト
教育学術オンライン

平成19年7月 第2280号(7月11日)

学生相談における全学的な取り組みについて
   事務組織改編とワンストップサービスの現状と課題 −2−

札幌大学事務局次長 岡地 功

 日本私立大学協会(大沼 淳会長)は平成十八年七月五日から七日まで、兵庫県神戸市内のホテルにおいて、平成十八年度学生生活指導主務者研修会を開催した。当日は二一一大学から三〇〇余名が参加し、「人間力を育てる」をメインテーマに講演や報告、班別討議等が行われた。本紙では岡地 功札幌大学事務局次長の事例発表「学生相談における全学的な取り組みについて」―事務組織改編とワンストップサービスの現状と課題―を三回に分けて掲載する。

 「運営事業オフィス」は、管理部門で企画広報課、総務課、教職員課、経理課、施設課をまとめました。
 次に「広報渉外オフィス」は、学生募集、求人開拓、公開講座等の業務をまとめ、国際交流、就職、入試、企画、総務課をまとめました。
 「学術情報オフィス」は、図書館と情報メディアセンター、電算課、教務課等をまとめました。
 最後に「学生支援オフィス」ですが、入学から卒業、就職に至るまでの学生指導、相談業務を集約し七つの課をまとめ、少々無理な面もありますがこれまでの大学事務局の常識を覆すほどの大改革であるといっても過言ではありません。
 他大学でも事務局の組織改編は行っておりますが、教務課と学生課を統合した「学生支援課」としてスタートした大学も多くおられると思いますが、本学のように七つの課を統合した大学は珍しいと思います。
 このように大きな改革をする場合、応分のリスクも負わなければなりません。具体的には、就職関係の企業訪問者と学生指導する担当者を分けてメールや報告書でコミュニケーションを図ろうとしました。また、入学試験を学生支援オフィスで行っておりましたが、受験票の受付や問い合せ、そして受験生の最終確定等の関係から、入学試験の実施までは一部署で担当した方がベターという結論に達しました。そこで、二年が経過した二〇〇四年七月に業務の見直しを図り、学生支援オフィスで対応しておりました入学試験関係については業務遂行上に無理があるという結論に達し、広報渉外オフィスを発展的に解消、運営事業オフィスに統合し、四つのオフィスから三つのオフィスに再編することになりました。
 組織改編のもう一つのねらいは、ポストの削減です。旧組織では、一室、五部、一三課となっておりましたので、一局長、四次長、一三課長の方がおりましたが、現在は一局長、二次長、八事務長で運営しており、大きな削減となりました。
 本学の事務局再編の取り組みについては、月報私学及びBetweenで紹介されましたので、多くの大学が全国から見学や視察に来られました。
 それだけに、はじめは事務職員そして教員からも戸惑いと批判が相次ぎましたが、今年九月で何とか四年が経過しますので、学生、教職員及び学外にも浸透してきていると思います。
 このように業務も多岐にわたっているため、「広く浅く仕事をしつつ、専門性を持った職員の育成」を目指し、大学に勤務する職員であるならば学内のことは全てとはいいませんが、概要を説明できる真の職員を育てたいと思っています。
 従って、職員の業務範囲も広く、縦列で学部の業務を担当し、横列で教務・学生・就職・システム等を担当しますので、本学が導入した組織を「マトリクス」と呼称しています。
 七、学生支援オフィスとは
 学生支援オフィスの業務を整理しますと、@教務関係、時間割、履修届、試験判定等、A学生関係、学生自治会、事故・事件、奨学金、課外活動、B留学生関係、交換留学、私費外国人留学生、C就職関係、就職相談全般、D情報システム関係です。それから、なんでも相談コーナー、医務室、学生相談室、体育施設、非常勤講師室、大学院があります。いわゆる入学後から卒業までの相談業務全てを引き受けて、学生相談をオフィスの中で完結するため「ワンストップサービス」を目指しております。
 学生を「たらい回し」するのではなく、私たち職員が各カウンターへ移動して対応するように心がけています。
 〈就職関係について〉
 私が担当しております就職関係についてもお話をさせていただきます。就職相談は、主に三年生の後期そして四年生の前期で就職関係行事を集中的に行っております。しかし、就職協定廃止後、就職活動も早期化及び長期化となり対応する担当者は通年で相談業務が続いております。また、一、二年生の低学年からキャリア科目を開設し、キャリアデザインをしっかり考えさせております。就職活動スケジュールは、自己分析、個人面談、模擬試験、企業研究等を十分行ったうえで、いよいよ会社説明会、会社訪問に送り出すわけです。
 就職の相談は、従来就職課の職員でなければ対応ができないという風潮にあり、専門員がいることが望ましいと思いますが、本学では「浅く広く」というモットーで誰でも就職相談ができるようにしたいと考えております。しかし、そういってもなかなか企業情報や採用に関する内容を勉強することは大変です。
 学生支援オフィスで、入学時のオリエンテーションや毎年の履修届、時間割確認、奨学金等を対応しており、三年になって始めて顔を合わすのではなく、教務関係及び学生関係で一年時から会っている学生も多くおり一貫した相談ができるものと考えております。
 本学でも実施しておりますキャリア科目については、就職担当と教務担当との調整を密にしなければなりません。
 多くの大学では、就職部を発展的にキャリアサポートセンター等に名称及び組織を見直して、作られているところが多いと思いますが、時間割・授業運営等のため教務関係に頼っているのが現状です。一方、インターシップの業務についても、就職と教務が双方で行っていると思いますが、本学では、すべて学生支援オフィスで対応しております。
 八、マトリクスによる事務体制について
 そこで、本学は先ほどご説明しましたとおりマトリクスによる事務体制という形をとっています。縦軸を学部事務体制とし横軸を学部横断的な業務、いわゆる専門事務体制と、それぞれの業務を担当者が連携を取りながら融合性を持って業務を処理することを目指しています。事務組織を網の目のように、縦軸と横軸の連携が最も重要であり、職員間のコミュニケーションが大切であると考えております。
 マトリクス組織は、シンプルな組織形態では達成が難しい、複数の目標を同時に追求するために考え出された組織形態といえます。縦軸と横軸の二軸からなるマトリクス組織であれば、機能別組織の持つ機能ごとの専門性の向上・蓄積というメリットと、機能別組織の持つ優れた市場適応性というメリットを同時に達成しようというわけです。
 マトリクス組織は複数の指示命令系統を持つ組織であり、複数の上司(ボス)がいることになります。この二ボスシステムは運用が難しいのが最大の難点です。二人の上司の間で利害が衝突するケースも起こりえますが、両者の調整はしばしば大変な労力を要します。
 導入時は大変なことが起きました。七つの課の職員、四〇名の精鋭が学生支援オフィスを担当することになりました。いわゆる高等学校の職員室みたいなイメージで考えてください。当初異様な雰囲気につつまれ、オフィスの電話が鳴っても誰もその電話に出ないという現象が起こりました。どこからどのような用件の電話かわかりませんので、不安で一杯だったのでしょう。自分の業務やこれまで経験していた業務については対応できますが、全く担当したことのない業務については対応できませんでした。電話の相手が、学内の教職員なのか?学生なのか?企業なのか?地域の方なのか?保護者なのか?とにかくオフィスに電話を繋いだが、誰が対応してくれるのか、電話交換の方も困ったと聞きました。「浅く広く専門性を持って…」言葉では理解しているものの、現場では思うように行かず、少々時間が必要でした。しかし、そんな職場の雰囲気が二、三週間続いたでしょうか。他の職員の電話の対応やカウンターでの対応を見たり聞いたりして徐々に対応ができるようになっていきました。幸い私は八つの課を異動してきましたので、他の職員よりは少し経験があり対応ができましたが、異動経験が少ない職員にとっては、物凄いプレッシャーだったと思います。そこで前向きに考えて勉強する姿勢が旺盛な職員は、すぐに業務を覚え、教職員や学生対応ができ良い方向に向かっていると思っております。
 しかし、組織改編に伴い職員から業務の負担が増え、大変だといういろいろな苦情がありますが、学生中心のサービスの原点に戻って、理解をしてもらっているところです。
 そこで具体的にオフィスの担当業務をどのように分担しているかについてご説明します。
 本学は、大学五学部と短期大学ですから、縦割りに事務局長、副事務長を置きました。私は、縦軸に三つの学部を担当し、統括しております。次に横軸に教務関係と就職関係を担当しています。すなわち、旧組織でいいますと主に教務課長と就職課長を担当していることになります。就職関係では、就職の内定辞退や来学された企業さんとの対応、教務関係では定期試験や授業運営の会議に出席し、いろいろな改革に取り組んでいます。(つづく)

Page Top