平成19年6月 第2278号(6月27日)
■「交通安全白書」51年ぶり6000人台前半 18道路交通事故死者数
内閣府は去る六月十二日、平成十九年交通安全白書を公表した。同白書には、陸上、海上及び航空の分野ごとに、交通事故の状況と平成十八年度における各種施策の実施状況及び平成十九年度に取り組む交通安全施策に係る計画が記述されている。平成十八年中の道路交通事故による死者数は六年連続で減少、五一年ぶりに六〇〇〇人台前半まで減少した。ここでは平成十八年度道路交通事故の状況の概要を掲載する。
平成十八年中の交通事故発生件数は八八万六八六四件で、これによる死者数は六三五二人、負傷者数は一〇九万八一九九人であった(死傷者数は一一〇万四五五一人)。
前年と比べると、死者数は五一九人(七・六%)、発生件数は四万六九六四件(五・〇%)、負傷者数は五万八四三四人(五・一%)減少した(死傷者数は五万八九五三人(五・一%)減少)。
交通事故による死者数は、昭和三十年(死者数六三七九人)以来五一年ぶりに六〇〇〇人台前半となった。一方、平成十六年に過去最悪を記録した発生件数及び負傷者数は、十七年に引き続き二年連続で減少したものの、負傷者数は八年連続で一〇〇万人を超えるなど、依然として憂慮すべき交通情勢にある。
近年、死者数が減少した要因としては、基本的には、道路交通環境の整備、交通安全思想の普及徹底、安全運転の確保、車両の安全性の確保、道路交通秩序の維持、救助・救急体制等の整備等、交通安全基本計画に基づく諸対策を、総合的に推進してきたことによるが、定量的に示すことができる主な要因としては、(1)シートベルト着用者率の向上、(2)事故直前の車両速度の低下、(3)飲酒運転の厳罰化等悪質・危険運転者対策の効果等が挙げられる。
交通事故死者数を年齢層別にみると、六五歳以上の高齢者(二八〇九人)が一四年連続で最も多く、全死者数に占める割合は四四%を超えている。
交通事故負傷者数を年齢層別にみると、三〇〜三九歳(二一万二八六六人)と一六〜二四歳(二〇万六七七人)が多く、それぞれ全負傷者数の約一八%を占めた。前年に比べると、一六〜二四歳(一万八五九三人減)と二五〜二九歳(一万六二七人減)が特に減少し、六五歳以上の高齢者(二五一人増)が増加した。
原付以上運転者(第一当事者)の飲酒運転による交通事故件数は一万一六二五件(構成率一・四%)で、九月以降の取締りの強化及び飲酒運転根絶に対する社会的気運の高まりなどにより、前年と比べると二二五〇件(一六・二%)減少した。
過去一〇年間の推移をみると、飲酒運転による交通事故は、一〇年間で半数近く(平成八年に比べ五三・七%減)にまで減少した。なかでも改正道路交通法(平成十四年六月施行)により飲酒運転に対する罰則等が強化された十四年以降の減少が顕著である。
自動車等運転中の携帯電話使用による交通事故発生件数は九〇〇件で、前年より四六件減少した。近年の傾向としては、十一年十一月に施行された改正道路交通法により携帯電話等の走行中の使用が禁止されて以降、十二年は大幅に減少したものの、十三年は増加し、十四年以降は減少傾向が続いている。
また、自動車等運転中のカーナビゲーション装置等の画像の注視による交通事故発生件数は、九二一件で、前年より一〇九件増加した。
交通死亡事故発生件数を曜日別にみると、全体の平均は一日当たり一六・八件であり、金曜日一八・三件、土曜日一七・八件、水曜日一七・四件の順に多い。
交通事故発生状況を昼夜別にみると、夜間の発生件数が事故全体の二七・九%であったのに対して、夜間の交通死亡事故発生件数は死亡事故全体の五一・〇%を占めた。これを交通事故一〇〇〇件当たりの交通死亡事故発生件数(死亡事故率)でみると、夜間が一二・七件、昼間が四・七件で夜間は昼間の二・七倍である。発生件数の推移では、夜間の発生件数が昼間を上回っているが、年々その差は減少傾向にある。