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平成19年6月 第2278号(6月27日)

私大関係予算・税制改善要望案を協議 "骨太の方針2007"等踏まえ対応協議

 山中内閣審議官が教育再生会議第2次報告を説明

 日本私立大学協会(大沼 淳会長)は、去る六月二十二日、東京・市ヶ谷のアルカディア市ヶ谷において第五七六回理事会を開催し、同協会の平成十八年度収支決算を承認するとともに、平成二十年度私立大学関係政府予算要求並びに私学関係税制改善対策の今後の推進方策について、文部科学省の芦立 訓私学助成課長が解説したほか、教育再生会議等の審議動向と大学改革問題等への対応については、内閣官房教育再生会議担当室の山中伸一内閣審議官が概要説明した後、協議が行われた。また、報告事項では、学校法人活性化・再生研究会の最終報告に向けた動向を日本私立学校振興・共済事業団の西井泰彦私学経営相談センター長から、さらに、同協会各支部の春季総会等の様子を各支部長等からそれぞれ報告された。

 はじめに、大沼会長から「参院選を控え、国会は年金問題等で騒然とする中、重要法案が審議され、二十日には、“教育三法”が可決・成立した。今年は、なんとなく私学の立場を見つめ直す必要に迫られるような気がするし、学校法人制度が変わろうとしているのではないか。そんなことから、国会や各種会議等の動向は注意深く見守っていきたい」などと挨拶があった。
 議事に入り、平成十八年度同協会の収支決算について、廣川利男企画財務委員会担当理事が、経常会計としての一般会計、教育学術新聞会計、附置私学高等教育研究所会計を、また、特別会計として、事業推進特別会計、退職金特別会計などについて詳細に報告し、併せて監事の佐藤東洋士桜美林大学理事長・学長が監査報告を行い、満場一致で承認された。
 次に、平成二十年度私立大学関係政府予算要求並びに私学関係税制改善対策の今後の推進方策では、初めにこれまでの経過を小出秀文事務局長が説明した。  「総力を挙げて概算要求に向けて“対前年度▲一%”をはねのけていくため、会長や役員の先生方には“夜討ち朝駆け”のごとく国会議員等に陳情をお願いしたり、自民党の文教合同における予算・税制改善に向けてのヒアリングに対応するなどしてきた」と語るとともに、「私学助成については、経済財政諮問会議の骨太の方針二〇〇七にいかに書き込まれるかにかかっていた」とこれまでの対応を振り返った。
 また、現状と今後の展望については、文科省の芦立私学助成課長が「これまでと異なり、骨太の方針に大学・大学院についてまとまって記述されており、併せて人材育成が大事な問題として認識されているように思われる。これまでは研究中心の国立大学のことだけだったが、今回は地方の大学の国公私連携のことまで触れられている。私大の振興につなげることも考えたい」などと述べるとともに、「ただし、“選択と集中により必要な予算を確保する。基盤的経費の確実な措置、基盤的経費と競争的資金の適切な組合せ、評価に基づくより効率的な資金配分を図る”とする一方で、“歳出全般にわたって、これまでの歳出改革を緩めることなく国・地方を通じ、引き続き基本方針二〇〇六に則り最大限の削減を行う”との表現もあることから、今後とも、諸会議の動向には注意が必要である」との感想を述べた。
 次に、教育再生会議等の審議動向と大学改革問題等への対応についてでは、内閣官房の山中審議官が六月一日に公表された教育再生会議第二次報告「社会総がかりで教育再生を」の概要を説明した。
 山中氏は、「昨年十月に発足した教育再生会議は、今年一月に主に義務教育に関わる議論を取りまとめた第一次報告を公表し、このたびは第二次報告を取りまとめて公表した」と述べた上で、学力向上、人間形成、大学・大学院の再生等に係わるそれぞれ五つの提言のほか、財政基盤の在り方についてでは、初等中等教育再生及び大学・大学院改革実現のそれぞれについての三つの具体策等についても詳細に解説した。
 なお、予算に関連しては小・中・高段階の一人当たり教育費は他の先進国との国際比較でも遜色ないが、高等教育については、どんな比較をしても日本の教育費の低いことは否めない、などと語るとともに、国家財政は八〇〇兆を超える赤字を抱え、予算についてもメリハリをつけないと動きがとれない状況であることもつけ加えた。
 山中氏の説明の後、理事からの「体験無き学習は意味が無い」との意見が出されるなど質疑応答があり、山中氏は「今後は、他の会議等と連携して議論し、十二月には第三次報告を取りまとめたい」と語った。
 引き続いて、同協会への加入申請のあった(学)鎮西学院の設置する長崎ウエスレヤン大学について、協議の上、加入が承認された。
 その他、同協会関西支部部則の変更について、森田嘉一副会長(関西支部長)から「部則の役員“二〇名”以内を“二五名”に、また副支部長を置くこと」の提案が出され承認された。
 報告事項に移り、私立学校振興・共済事業団の「学校法人活性化・再生研究会」の最終報告に向けた取りまとめについて、同事業団の西井経営相談センター長が概要を説明した。
 西井氏は「中間報告では私学の意見等があまり反映された書きぶりではなかったが、最終報告では私学振興に係る課題等も、言及するなど取りまとめに入っている」と報告した。
 なお、最終報告は七月中旬頃に公表予定である。
 次に、文科省からの私立大学等研究設備整備費等補助金等に係る選定委員の推薦については、一九名を推薦することになった。
 最後に、同協会の各支部の春季総会について、@関東地区連絡協議会(六月一日・東京)、A関西支部春季総会(六月一日・神戸)、B北海道支部春季総会(六月十八日・札幌)、C東北支部春季総会(六月二十日・弘前)がそれぞれ盛会裏に終了したことの報告が行われて終了した。

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