平成19年6月 第2277号(6月20日)
■意見概要(案)もとに審議 教育振興基本計画特別部会開く
中央教育審議会の教育振興基本計画特別部会(三村明夫部会長)は、去る六月十一日、東京・青山のフロラシオン青山において第六回会合を開き、前回までに出された主な意見を事項ごとに取りまとめた「意見概要(案)」に沿って議論した。
まず、「このたびの教育振興基本計画は、六〇年ぶりに改正された教育基本法の第十七条に明記されていることに鑑み十分な審議を重ね、国民の理解を得られるものにすべきとの判断から、当初予定の六月中の中間まとめにこだわることなく、議論を深めたい」との提案が部会長から出され、了承された。
なお、六月一日公表の教育再生会議第二次報告「社会総がかりで教育再生を」について、参考となるものは今後の議論にも反映させていきたいとも語った。
「意見概要(案)」では、(1)総論関係(「数値化も含めた具体的な政策目標を示すとともにそれに必要な財政支援についても検討を進めることが必要」など計画の検討の方向についての意見)(2)教育の目標の実現関係(「大学での人格を形成するキャリア教育の充実が重要である」などの意見)、(3)生涯学習社会関係(「社会人向けプログラムを普及促進すべき(履修証明の制度化・活用)」といった意見など)、(4)教育の機会均等関係、(5)信頼される学校教育関係(『私学の振興』の項目の中で「学生の約六〇%を占める私学文系の質をどうするかなど、我が国の人材の裾野の育成の在り方について打ち出すことが重要」「私学振興について、教育基本法に明記されたことを重視すべき」などの意見)、(6)家庭教育支援、幼児期の教育、社会教育、学校・家庭・地域の連携協力関係、(7)教育行政関係、(8)計画の策定、推進に際しての必要事項関係などがまとめられている。
多くの委員から意見が出される中で、全私学連合の代表を務める安西祐一郎慶應義塾長が、「国際社会で我が国が発展していくためには、多様な人材が必要であり、特定の大学をトップに頂くようなピラミッド型の高等教育の在り方ではなく、頂上がいくつかある八ヶ岳型の構造が必要である。また、高等教育の約七五%を担う私立大学に対する財政支援は、国立大学の僅かに十分の一程度でしかなく、大きな教育格差がある」などとの意見を述べ、これらの教育格差の是正の検討を強調した。
このほか、多くの委員から、特別支援教育の充実、危険校舎の改善、海外へ出ていく留学生への支援充実などの検討を求める意見が出された。