平成19年6月 第2277号(6月20日)
■「骨太の方針2007」閣議決定 教育予算に「効率化」との表現盛る
「教育再生に真に必要な予算は財源確保」を明記
政府は六月十九日の官邸での臨時閣議において、経済財政運営の指針となる「経済財政改革の基本方針二〇〇七〜『美しい国』へのシナリオ〜」(骨太の方針)を決定した。構成は、第一章・新しい日本の国づくりに挑む、第二章・成長力の強化、第三章・二十一世紀型行政システムの構築、第四章・持続的で安心できる社会の実現、第五章・平成二十年度予算における基本的考え方、となっており、第二章には成長可能性拡大戦略―イノベーション等として、「大学・大学院改革」がまとめられている。その概要は次のとおり。
@教育の質の保証
▽大学(大学院を含む、以下同じ)が行う卒業認定の厳格化、外部評価の推進、ボランティア活動体験の導入などカリキュラム改革等を強力に支援する措置を平成二十年度から講ずる。
▽「教育再生会議」は、大学入試の多様化、弾力化等抜本的な改革を検討する。
A国際化・多様化を通じた大学改革
▽大学の四月入学原則を平成十九年度中に弾力化する。国立大学について、大学の取組を支援し、全国立大学での九月入学枠の設定を実現する。私立大学においても、九月入学枠設定を促進する。
▽平成二十年度から、現地での募集・選考体制の強化、渡日前の入学許可、奨学金支給決定を行い、留学生受入れの拡大を図る。日本人学生の短期留学等の機会を拡充する。
B世界トップレベルを目指す大学院教育の改革
▽平成二十年度から、世界最高水準の大学院形成、優れた大学院生への経済的支援を充実する。
▽学部三年修了時から大学院に進学する早期卒業制度を活用するとともに、博士前期課程三年、後期課程二年とするなど、制度を平成十九年度内に弾力化する。
C国公私立大学の連携による地方の大学教育の充実
▽自主性・自律性をもって、大学が行う社会の変化や時代の要請に応じた学部学科の再編、他大学との連携協力、組織運営改善等の取組を支援する。
▽国公私を通じ、複数の大学が大学院研究科等を共同で設置できる仕組みを平成二十年度中に創設することを目指す。
▽国公私を通じた地方の「大学地域コンソーシアム」形成支援の措置を平成二十年度から講ずる。
D時代や社会の要請にこたえる国立大学の更なる改革
E競争的資金の拡充と効率的な配分
▽研究と教育の両面における競争的資金を拡充するとともに、間接経費を充実する。競争的資金の審査システムを公正性、透明性、国際性の観点から高度化する。若手研究者への配慮等評価手法を改革する。
F大学による自助努力を可能とするシステム改革
G国立大学法人運営費交付金の改革
▽文科省は、運営費交付金の配分については、(1)教育・研究面、(2)大学改革等への取組の視点に基づく評価に基づき適切な配分を実現する。その際、国立大学法人評価の結果を活用する。
なお、第四章「教育再生」には、「予算面では効率化を徹底しながらメリハリをつけて真に必要な予算の財源を確保する」と明記した。