平成19年6月 第2276号(6月13日)
■関東地区連絡協議会が総会開く 立命館大学副総長 本間政雄氏が講演
日本私立大学協会の関東地区連絡協議会(大沼 淳会長、平成十九年度議長=小田一幸東京造形大学理事長)は、去る六月一日、東京・九段のホテルグランドパレスにおいて、同協議会所属の一二二大学から一〇九大学・一七七名が出席して総会を開催した。また、議事の終了後には、本間政雄(学)立命館副総長・立命館大学教授が「私立大学に期待するもの」と題して講演を行った。
はじめに、大沼会長から「今日は、これまでで最高の一七七名のご出席をいただいた。それだけ、今日の私学に課せられた難題が重いということの現れだと思う。色々な意味で夏の参院選までの今が剣が峰とも思われることから、役員の先生方には、文教関係の与党国会議員や文部科学省等との懇談会や研究会、さらには要請活動などにご協力いただき、平成二十年度の予算・税制改善等についてより良い方向にカジをきっていきたい」との挨拶があった。
また、小田議長は「平成十六年度から同十九年度までの四年間の最終年度の議長の重責を負うことになった。皆様のご協力をよろしくお願いしたい」と述べ、総会へと移った。
総会では、まず、@平成十八年度同協議会の事業報告、収支決算について小出秀文同協会事務局長が説明し、協議の上、承認された。続いて、A平成十九年度事業計画案、予算案についても、小出事務局長の議案説明の後、満場一致で承認された。
次に、連絡協議では、小出事務局長が@私立大学に対する今後の国の財政支出の在り方及び税制問題(平成二十年度私立大学関係政府予算概算要求関連)、A経済財政諮問会議及び中央教育審議会等の審議に係わる動向と大学改革問題等への対応等、また、私立大学が当面する重要事項について、詳細に説明提案し、協議が行われた。
@については、GDPに対する高等教育への公財政支出の比率(約〇・五%)を欧米諸国並みの約一%にすること、さらに、地域の知の拠点として地域の人材養成、まちづくり、産業振興などの私立大学の多様な地域貢献に果たしている役割に鑑み、「定員割れ私学の助成削減」といった方針を撤回すること、Aについては、教育再生会議をはじめ経済財政諮問会議などにおける高等教育関連の審議事項が説明された。なお、中教審については、「学士課程教育の在り方に関する小委員会」での審議動向を中心に説明された。そして、これらの審議に対しては適宜適切に対応していくことを確認した。
協議の最後に、大沼会長は「予算などの要望実現のために、国公立大や文教関係国会議員、文科省等との係わりの中で、今後は従来とは異なった対応の仕方も必要となるかもしれない」などと締めくくった。
休憩の後、「私立大学に期待するもの」と題して本間氏が講演した。
同氏は、まず、規制緩和政策が高等教育にもたらした諸課題(認証評価の義務化、特区における株式会社立大学の認可、一九九五年以降の一六八校の大学新設、ユニバーサル化、経営困難大学の増加、学生の多様化と質の低下など)を挙げた上で、政府(財務省や各種会議等)の政策(国立大学法人運営費交付金の一%削減、私学助成の経常費補助金の一%削減等の歳出削減など)を押し進めている実情を詳細に述べ、今後の私立大学の目ざす方向を次の五点にまとめた。
@ミッションをよりよく果たすための最善の努力をしなければならない。同時に国公私立大学の枠を越えて高等教育の基本的「枠組み」を変える努力をする必要がある。
A改正教育基本法が定める「教育振興基本計画」に高等教育に対する公的投資額に関する数値目標を明示させること(科学技術基本計画との関係)。
B経済財政諮問会議の有識者委員(多くは大学教員)との真摯な討論も必要。
C国会議員、政党に「欧米の大学と競争するには、『竹槍』では無理であり、インフラ整備、投資が必要」なことを理解してもらう。
D欧米主要国の、大学インフラ(毎年の投入額フローでなく〈ストック〉)を明らかにし、それに到達するためにどだけの公的投資が必要かを明確にする。
講演終了後には、フロアとの質疑応答や大沼会長からの謝辞が述べられて終了した。
その後、会場を移しての懇親晩餐会が催されて全日程を終了した。