平成19年5月 第2273号(5月16日)
■大学設置基準の一部改正 でパブコメ 授業のあり方等の規定を改正
平成十八年の大学院設置基準の改正を踏まえ、学部段階においても教育力向上のための必要な措置を講じるとともに、基準をより明確にする観点から、大学設置基準等の一部を改正することを予定しており、このたび、その一部改正案についてパブリック・コメントを行っている。実施期間は六月十日まで。
一、平成十八年の大学院設置基準改正を踏まえた改正
(1)大学は、教育研究上の目的を学則等に定め、公表するものとすること(※1)。
(2)大学が一の授業科目について講義と実習など二以上の方法の併用により行う場合は、その組合わせに応じ、授業方法ごとの基準を考慮して当該大学が定める時間の授業をもって一単位とすること。
(3)大学は、学生に対して、授業の方法及び内容並びに一年間の授業の計画をあらかじめ明示するものとすること。また、学修の成果に係る評価及び卒業の認定に当たっては、客観性及び厳格性を確保するため、学生に対してその基準をあらかじめ明示するとともに、当該基準に従って適切に行うものとすること。
(4)大学は、授業の内容及び方法の改善を図るための組織的な研修及び研究を実施するものとすること(※2)。
二、その他基準をより明確にするための改正
(1)大学は、科目等履修生等を収容定員を超えて受け入れる場合において、学生の教育に支障のないよう相当数の専任教員を増加する等とすること。
(2)大学が二以上の校地において教育研究を行う場合は、それぞれの校地ごとに必要な専任教員や施設・設備を備えるものとすること(校地が近接している場合を除く)。
(3)大学は、その目的を達成するために必要な授業科目の開設は、自ら行うものであることを明確にすること(※3)。
(4)大学は、専用の施設を有することとし、一定の条件を満たす場合に、他の学校、専修学校及び各種学校との間で施設を共用することができることとすること。
(平成十三年文部科学省告示第五十一号の改正)
大学が、多様なメディアを高度に利用して行う授業の要件について、毎回の授業の実施に当たって設問解答、添削指導、質疑応答等による指導を併せ行う形態をとる場合には、多様なメディアを高度に利用し又は指導補助者を配置する等により、十分な指導を行うものとすること。
三、施行期日
平成二十年四月一日。
(※1)教育研究上の目的は、学則以外に例えば学部規則等に定めることも想定される。
(※2)研修及び研究の実施は、教員個人への義務付けではなく、大学という組織への義務付けである。
(※3)大学は、授業科目の開設について、必要な教員組織、施設設備を備えた上で「自ら」授業科目を開設するものであるとの原則を明確化するもの。実習等一部の授業科目について大学以外の施設等の協力を得て行うものを否定するものではないが、その場合には、大学が定める指導計画の下で、大学の担当教員が学生の学修状況を十分に把握し必要な指導を行う体制にあるなど、大学の授業科目として適切に位置づけられる十分な状況の下で行うことが求められる。