平成19年5月 第2272号(5月9日)
■第574回理事会 事業計画推進の実施要領など決める
吉村剛太郎自民党文部科学部会長が私学振興に期待
日本私立大学協会(大沼 淳会長)は、去る四月二十七日、東京・六本木のホテルで第五七四回理事会を開催し、三月の総会で承認された平成十九年度事業計画の実施要領等について協議するとともに、平成二十年度私立大学関係政府予算要求の基本方針並びに私立学校関係税制改善の推進方策、さらに、経済財政諮問会議や教育再生会議、中央教育審議会等の審議動向と大学改革問題等への対応など多岐にわたる協議を行った。なお、議事の終了後には、自民党文部科学部会長の吉村剛太郎参議院議員が駆付け、日本の教育における私学の役割の大きさを語るとともに、私学振興への尽力を強調した。また、理事会に先立ち、理事会会場に隣接して開館した国立新美術館(林田英樹館長)の見学会も行われた。
開会に当たり大沼会長は「六月の骨太の方針二〇〇七に向け、平成二十年度の予算要望の基本方針や私学関係税制改善等の推進対策活動を展開している。関連して、私学助成及び国大の運営費交付金等への公財政支出の在り方や総額などに係わる要請活動等も考えていかなければならない」などと挨拶を述べた。
協議に入る前に、(学)金城学院の戸田安士理事長が、去る四月十四日に営まれた渡邊$e前理事長・学院長の学院葬のお礼を述べた。
協議に入り、平成十九年度事業計画の実施要領等については、小出秀文事務局長から「去る三月二十八日の春季総会で承認された事業計画推進に関わる実施要領であり、大きな変化が予測される中で私大協会六一年目の実りある事業を展開していきたい」との提案主旨が述べられ、八項目にわたっての具体的な専門委員会活動等が示された。
(1)新たな私学振興基盤の確立/@私立大学発展構想委員会(黒田壽二担当理事)=シニア世代受入れ推進に関する研究協議会、私立大学経営問題協議会(仮称)等の実施など、A大学経営相談委員会(廣川利男担当理事)、B大学評価問題検討委員会(中原 爽担当理事)、C私学高等教育研究所運営委員会(中原 爽担当理事)。
(2)教育・研究の活性化と充実/@教育学術充実研究委員会(森本正夫・福井直敬担当理事)=教育学術充実協議会の実施など、A大学教務研究委員会(小出忠孝担当理事)=大学教務部課長相当者研修会の実施など、B大学情報図書館研究委員会(石田恒夫担当理事)=大学図書館司書主務者研修会の実施など、C学生生活指導研究委員会(高柳元明担当理事)=学生生活指導主務者研修会の実施など、D就職委員会(大橋秀雄担当理事)=就職部課長相当者研修会の実施など。
(3)国際交流・協力の推進/@国際交流委員会(森田嘉一担当理事)=留学生担当者協議会の実施、アメリカ大学の事例研究調査団の派遣など、A内蒙古・新疆学術交流委員会(森本正夫担当理事)。
(4)大学財政基盤の充実と強化/@大学経理財務研究委員会(原田嘉中担当理事)=学校法人会計制度等の研究、学生納付金等調査のほか大学経理部課長相当者研修会の実施など。
(5)管理・運営の充実と強化/@大学事務研究委員会(香川達雄担当理事)=私立大学の社会的責任とマネジメント研究、事務局長相当者研修会の実施など。
(6)広報事業活動の推進/@教育学術新聞運営委員会(大沼 淳代表)、Aその他の広報事業=広報協力者会議の新設など。
(7)協会事業の企画・立案・調整/@企画財務委員会(廣川利男担当理事)=各委員会の合同研究会の実施や競争的研究資金制度に関する協議会、“地域共創”に関する研究協議会などの実施、A定款等検討委員会(廣川利男担当理事)。
(8)対外対処事業/@役員会対処事業等、A日本私立大学団体連合会(以下、団体連合会)、B全私学連合、C関係諸団体。
(9)その他の事業
これらの実施要領案は、提案どおり承認された。
次に、平成二十年度私立大学関係政府予算要求の基本方針では、団体連合会として取りまとめた次の視点案が了承された。
@私立大学が地域にとって不可欠の存在であり、地域に貢献していること、A「教育振興基本計画」の今後の策定過程において、国内総生産(GDP)に対する高等教育への公財政支出割合の拡大、B教育にかかる経費について国立大学とのフェア・フッティングに基づく支援策など。
また、私学関係税制改正要望については、個人からの寄附金にかかる所得控除限度額の拡大をはじめ寄附文化の喚起等を図る。
引き続き、各種会議等の審議動向として、(1)規制改革会議の高等教育・研究機能の質の向上(教育と研究の会計分離、文科省以外の府省が所管する競争的研究予算の公正かつ効率的な配分の在り方の検討)、(2)経済財政諮問会議の大学改革の重点(国立大学入試日の分散、複数合格、九月入学(選択)、入試における文系と理系区分の撤廃など)、(3)教育再生会議・第三分科会の大学学部教育の質の保証(卒業認定の厳格化、大学入学制度の見直しなど)のほか、九月入学や「教育院」(仮称)構想の検討など、(4)中央教育審議会の学士課程教育の在り方など、これらの審議動向には十分に注意を払うとともに、適宜対応していくことが確認された。
報告事項では、同協会の評議員登録変えについて、女子美術大学の立石雅夫前理事長・学長から大村 智新理事長に、鹿児島国際大学の故菱山 泉前理事長から永田治雄新理事長に、国立音楽大学の吉田泰輔前理事長から宮地忠明新理事長にそれぞれ交代し、理事の欠員が生じたことが報告された。そのほか、被用者年金一元化問題については全私学連合を代表して対応した黒田嘉二副会長がこれまでの交渉の経緯、今国会で審議されている法律案の概要などを説明した。そのほか、内閣府国民生活審議会消費者政策部会・消費者契約法評価検討委員会ヒアリングへの対応(団体連合会)の報告、さらに(財)私立大学退職金財団の 為重常務理事が、退職資金交付業務方法書等の見直しに係る改正案を説明し、同協会にも意見を求めた。
全ての議事の終了後に駆付けた自民党の吉村文部科学部会長は、「教育再生安倍内閣の下、建学の精神を大事にし、私学には大いに発展していただきたい。今後とも、教育をライフワークとして取り組んでいきたい」と力を込めた。
なお、理事会の終了後には会場を移しての懇親会が催された。