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平成19年4月 第2269号(4月11日)

大学教育におけるサービス・ラーニング
  スタンフォード大のNPOが会議開く

 一九六三年からスタンフォード大学にてアメリカとアジアの文化交流に取り組んでいる非営利団体「VIA」は、去る三月二十五日、東京・代々木の国立オリンピック記念青少年総合センターにおいて、「大学教育におけるサービス・ラーニング」をテーマに、カンファレンスを開催、日米の関係者が集い熱心に議論を行った。

 サービス・ラーニングは、多様な社会的課題を机上の学問として学習するだけではなく、ボランティア活動や実践を通し課題への自らのかかわりを問い直し、課題解決を考えるきっかけを提供する学習方法とされる。特にアメリカでは取組が拡大しており、日本の大学においても急速に広がりを見せている。
 しかし一方で、その定義は多様で確立しておらず、インターンシップやフィールド教育、ボランティア活動と混同されることも多い。
 今回、講演したスタンフォード大学ハースセンターのキャリン・コッターマン・サービス・ラーニングディレクターは、サービス・ラーニングの要素として次の五つを挙げている。
 @サービス活動が公に貢献していること、Aサービス活動後の「ふりかえり」がシステム化されていること、B大学とコミュニティ双方がメリットを得ていること、C取組をきちんと情報共有・発信をしていること、D様々な異文化に対して許容する態度である。
 スタンフォード大学、慶應義塾大学、東京大学、中央大学、国際基督教大学の学生が、プログラムに参加した感想等の発表を行った。プログラムの多くは、海外にて、まず教室内で学習し、その後サービス活動を行い、最後に「ふりかえり」によって体験がどのような意味があったかを内省する。学生からは「ふりかえりで何故そう思うのか、理由の根拠を常に自問する姿勢が身についた」等の声が聞かれた。
 大学教職員等のパネルディスカッションでは、サービス・ラーニングの意義について、「サービス活動を行いながら葛藤をし、自分で考えていくと、自分とは何かという意識が芽生えてくる」等の意見が出された。また、会場からの質問では、関心のない教員へのアプローチについて、「大学の理念に基づいた教育方法としてみせる」「学内の協力者やキーパーソンを見つけ、口コミで広げていく」等の意見が出された。

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