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平成19年4月 第2268号(4月4日)

第126回春季総会を開催 重点目標掲げ私学振興に邁進
  平成19年度事業計画・予算など決まる

  日本私立大学協会(大沼 淳会長)は、去る三月二十八日、東京・市ヶ谷のアルカディア市ヶ谷を会場に加盟三七一大学から約二五〇名が出席して第一二六回総会(平成十九年春季)を開催し、平成十九年度の事業計画(2面に掲載)案、同予算案を原案通り承認、決定するとともに、規制改革問題、教育再生会議、中央教育審議会の審議動向と対策問題、被用者年金制度一元化問題など私立大学の振興・発展にとって当面する重要問題についての協議も行われた。議事の終了後には、役員の永年功労表彰が行われた。なお、総会終了後の懇親会には、文部科学省からは池坊保子、遠藤利明の両文科副大臣をはじめ幹部多数のほか、私学事業団の鳥居泰彦理事長など私学関係団体からも代表者が出席して盛会裏に終了した。

  協議に先立ち、大沼会長は「私大協会創立六〇周年の掉尾を飾る総会を迎え、市ヶ谷堤の桜も待ちかねたように花びらを大きく開いている。残念ながら十九年度の私学助成は二三年ぶりの減額となったほか、地方と都市部の格差、あるいは被用者年金一元化問題など今後の重要問題を積み残している。次年度以後に向けての基盤を固めていく総会にしたい」と挨拶した。
  次に来賓の橘重義最高顧問をはじめ、佐藤登志郎顧問((財)日本高等教育評価機構理事長)、齋藤力夫顧問(公認会計士)、原野幸康参与((財)日本高等教育評価機構専務理事)、瀧澤博三私学高等教育研究所主幹の五氏が紹介された。
  協議に入り、まず、平成十九年度事業計画案と同予算案について一括審議となり、企画財務委員会担当理事の廣川利男副会長(東京電機大学学園長)が提案説明した。
  事業計画案については概要を述べ、小出秀文事務局長が詳細に説明した。同氏は、事業計画の七つの重点目標として@学校法人の強化に関する研究と推進、A私大経営の充実と質の強化に関する研究と対策〜地域と私立大学との振興に関する研究と対応を含む〜、B教育振興基本計画の策定等に関する研究と対応、C規制改革・構造改革特区問題(新たな大学設置形態問題等)、D私大教職員の福利厚生問題(私学年金問題等)への対応、E私立大学関係政府予算の拡充及び学校法人税制改正の推進、F国の教育費支出の在り方(ファンディング・システム)に関する研究の推進、などを挙げた。
  さらに、これら七つの重点目標に関連する具体的な主要事業について(T)新たな私学振興基盤の確立(私立大学発展構想委員会、大学経営相談委員会、大学評価問題検討委員会など)、(U)教育・研究の活性化と充実(教育学術充実研究委員会、大学教務研究委員会、大学情報図書館研究委員会、学生生活指導研究委員会、就職委員会)、(V)国際交流・協力の推進(国際交流委員会、内蒙古・新疆学術交流委員会)、(W)大学財政基盤の充実と強化(大学経理財務研究委員会)、(X)管理・運営の充実と強化(大学事務研究委員会)、(Y)広報事業活動の推進(機関紙『教育学術新聞の発行』、教育学術新聞運営委員会、『全国私立大学案内』の刊行、広報協力者会議の設置・運営)、(Z)協会事業の企画・立案・調整(企画財務委員会、定款等検討委員会)、([)対外対処事業など関連の委員会も含めて説明した。
  そのほか、機関紙『教育学術新聞』発行要項並びに私学高等教育研究所の事業についても説明した。
  一方、事業計画に基づいた予算案についても経常会計、特別会計等が詳細に説明され、協議の後、事業計画案、予算案ともに満場一致で承認された。
  引き続き、同協会役員補任について、今井久夫大阪歯科大学理事長・学長、鈴木多加史追手門学院大学学長、坂口正雄大阪工大摂南大学理事長の三名が紹介され、暖かい拍手に包まれた。
  休憩をはさみ、高等教育激動期における私立大学の振興・発展方策をめぐる協議では、小出事務局長が@規制改革関連対策、A教育再生会議、中央教育審議会の審議動向と対策、B私学経営をめぐる諸問題、C被用者年金一元化問題などの概要を解説した。
  @規制改革会議の重点分野・課題とされたバウチャー制度の導入については、黒田壽二副会長が補足説明した上で、基本的に反対であること、また、A教育再生会議関係では第三分科会の大学・大学院教育システム改革、「九月入学」を含めた入学制度の在り方の議論に対しては、私学としての意見具申などしていきたいとした。また中央教育審議会の審議動向について、大学分科会における学士課程教育の議論のポイントを黒田副会長が詳細に解説した。次に、B私学経営を巡る諸問題では、昨年七月の私学事業団の私立大学活性化・再生研究会の「私立学校の経営革新と経営困難・破綻への対応」(中間まとめ)の関連で、同研究会の分科会長の廣川副会長が「中間まとめ」に対する同協会の意見書等を中心に分科会の経過を含めたその後の審議動向を説明した。協議では、「学校法人の根幹に関わる重要課題であり、永続性の観点から考えてほしい」「経済界に定員割れ私学に対する理解を訴えなければ」「市場原理だけで語られることのないようにしたい」など関係方面に積極的に働きかけていくこととした。C被用者年金制度一元化問題では、その基本方針が昨年四月に閣議決定されて以後の経過と同協会の適切な対応を説明するとともに、自民党政務調査会文部科学部会と文教制度調査会の「私立学校教職員共済の新三階年金の創設に関する決議」などをテコに、私学共済の新三階年金については平成十九年度中に検討を行い、その結果に基づいて別に法律で創設することや事務組織として私学事業団を使うことなどを盛り込んだ方向での法案まとめになることが、中原 爽副会長、黒田副会長から解説された。
  協議事項の終了後には、平成十八年度同協会事業の実施状況について小出事務局長が報告し、了承された。また、大学評価事業への対応について認証評価は平成十八年度が一六大学、平成十九年度は三八大学の予定であることなど、同機構の佐藤理事長、原野専務理事より報告が行われ、協議事項は終了した。
  次に、永年功労役員表彰に移り、原田嘉中千葉商科大学理事長(四〇年)、小原哲郎玉川大学名誉総長・特別顧問(三四年)、森本正夫北海学園大学理事長(三一年)、森田嘉一京都外国語大学理事長・総長(三一年)の四名にそれぞれ記念品が贈られ、永年功労役員表彰の栄誉に浴した。なお、四名を代表して原田理事長が挨拶を述べ(別掲参照)、また、三名の永年勤続職員表彰も併せて行われ、総会は終了した。
  全ての協議終了後の懇親会では、池坊文科副大臣から祝辞が述べられ、私学事業団の鳥居理事長の音頭による乾杯の後、満開の桜を愛でての和やかな懇談となり、午後八時にお開きとなった。

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