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平成19年3月 第2266号(3月14日)

1面関連・中央教育審議会の答申全文
  第T部 総論

○ 昨年十二月、教育基本法が約六〇年ぶりに改正され、これからの教育のあるべき姿、目指すべき理念が明らかにされた。これは新たな時代の教育の幕開けであり、我々はこの改正教育基本法の精神にのっとって、新しい時代にふさわしい教育を力強く総力を挙げて進めていかなければならない。
○ 一方、昨年秋に大きな社会問題となったいじめや未履修の問題については、その対応をめぐって教育委員会や学校の在り方について様々な議論を呼び、学校教育の本質や教育行政における責任の所在はどこにあるか等、公教育の在り方、さらには社会全体の在り方が国民的な議論となった。これらの過程において、国を含め公教育への信頼が失われかねない状況となっている。また、懸命に子どもたちの教育に打ち込んでいる大多数の教員がいる中で、一部の教員の不祥事により、公教育全体への不信感が広がる結果となっている。
○ こうした中で、昨年十二月に成立した改正教育基本法において示された新しい教育の理念の下、各学校種の目的や目標を見直し、学習指導要領の改訂につなげていくことが必要である。その際、教育の機会均等、水準の維持向上や無償制が特に求められる義務教育については、新たに義務教育の目標の規定を創設することが適当である。
○ 教育の成否は教員にかかっている。教員に質の高い優れた人を確保することが重要であることから、教員免許更新制の導入等を図るとともに、副校長(仮称)、主幹(仮称)、指導教諭(仮称)の職の設置を通じて、学校の組織運営体制の強化を図り、より充実した学校教育の実現を目指していく必要がある。同時に、教員が誇りを持って教育に取り組み、社会と児童生徒から尊敬、敬愛を受ける存在であるためには、勤務条件の在り方等についても併せて検討していく必要がある。
○ 学校を支える教育行政制度の改善を図り、国民と児童生徒に対する責任の所在を明確にすることは喫緊の課題である。改正教育基本法の定めるところに従い、地方分権の理念を尊重しつつ、国と地方公共団体が適切な役割分担と相互の協力の下、地方における教育行政の中心的な担い手である教育委員会の体制を充実しなければならない。人の育成を担う教育の重要性にかんがみ、教育基本法において定められた教育の実施についての国の責任をしっかりと果たし、国民の信頼に真に応えられる教育行政の体制を構築する必要がある。
○ 何よりも忘れてはならないのは、未来を担う全ての子どもたちに対して、いかにして充実した質の高い教育の機会を保障できるかとの観点である。そのためには国、地方公共団体、学校、家庭及び地域社会が緊密に連携協力し、それぞれの責務をしっかりと果たしていくことこそが今、求められている。
○ 本答申は緊急に改正が必要とされる制度についての考えをとりまとめたものであり、今後、改正教育基本法を踏まえ、学校教育、社会教育等の各分野を通じた教育改革の具体的な方向性を順次示していくことが必要である。

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