平成19年3月 第2266号(3月14日)
■学校教育法・教員免許法・地方教育行政法の改正に向け
私学に対し教育委員会が助言・援助可
中央教育審議会(山崎正和会長)は、去る三月十日、東京・神田の学士会館で開いた総会において、教育再生関連の学校教育法、教育職員免許法、地方教育行政法の改正案の骨子となる「教育基本法の改正を受けて緊急に必要とされる教育制度の改定について」の答申を取りまとめ、伊吹文明文部科学大臣に提出した。この答申は、昨年末の教育基本法の改正や政府の教育再生会議の第一次報告等を踏まえ、今国会への法案提出の関係から約一か月の審議で取りまとめられたもので、教育委員会への国の関与については「地方分権の流れに逆行」との強い意見等もあり、両論併記とした部分も残った。
答申の概要は次のとおりである。
●学校教育法改正
・義務教育の目標=自主、自律及び協同の精神、規範意識、公正な判断力、公共の精神に基づき主体的に社会の形成に参画する態度を養う。伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する態度の育成など。
・新しい職の設置=幼稚園、小・中・高校などに副校長、主幹、指導教諭を置くことができる。
・大学等の履修証明制度=当該大学に在学する学生以外の者を対象とした特別の課程を履修した者に対し履修証明書を交付できるといった趣旨を規定すること(留意事項:大学の履修証明については、その質の確保を図るとともに、社会的な評価を高めるための具体策について今後さらに検討することが重要)。
●教育職員免許法等改正
・更新制の導入=有効期間は一〇年間。勤務実績等により更新講習の受講免除もある。講習時間は三〇時間程度。
・不適格教員=任命権者は、第三者からなる審査会の意見を聴き「指導が不適切な教員」を認定し、研修を実施する。研修後も指導が不適切とされた者には、免職等の措置を講ずる。また、教員が分限免職処分を受けたときは、その免許は失効する。
●地方教育行政法改正
・国の責任の果たし方=文部科学大臣は、地方公共団体の教育に関する事務に法令違反等がある場合には地方自治法による是正の要求を適切に行うことは当然であり、さらに児童生徒の生命や身体の保護のため緊急の必要がある場合や、憲法に規定された教育を受ける権利が侵害され、教育を受けさせる義務が果たされていない場合など極めて限定された場合には、地方自治法の「是正の要求」に加え地方公共団体に対し何らかの措置〈指示等〉を行えるようにする(意見多数)。
これに対し、国が指示できるような制度を新たに設けることは、地方分権の流れに逆行する(強い意見)。
・私立学校に関する地方教育行政=必要に応じ都道府県知事が学校教育に関する専門的事項について教育委員会に対し助言・援助を求め得るようにする。私立学校の独自性・自主性を尊重し、教育委員会が指導を行わない。(3〜4面に答申の全文掲載)