平成19年3月 第2265号(3月7日)
■不良行為少年(補導人員)約143万人 少年非行等の概要
警察庁は二月に少年非行等の概要(平成十八年一〜十二月)をまとめ発表した。
平成十八年中の少年非行情勢は、刑法犯少年(一四歳以上二〇歳未満)の検挙人員が三年連続で減少し、知能犯を除くすべての包括罪種で減少した。
しかし、岐阜県での女子中学生殺人事件、奈良県での家族に対する放火殺人事件、北海道での実母殺人事件等、少年による社会の耳目を集める重大な事件は後を絶たず、また、児童虐待事件が増加した。
刑法犯少年の検挙人員は一一万二八一七人(前年比八.八%減。戦後最高は昭和五十八年の一九万六七八三人)だった。
また、成人を含めた刑法犯総検挙人員に占める少年の割合は二九・四%で前年を二.六下回り、昭和四十七年(二八.九%)以来三四年ぶりの低い割合となった。
特別法犯少年の検挙人員は五四三八人(前年比二.九%減)と引き続き減少傾向にある。
触法少年(刑法.一四歳未満)の補導人員は一万八七八七人(前年比八.四%減)と減少した。また、触法少年(特別法)の補導人員は四六二人(前年比一三.五%増)で五年連続で増加した。
不良行為少年の補導人員は一四二万七九二八人(前年比四.四%増)と増加し、態様別では四年連続で深夜はいかいが最も多くなった。
凶悪犯(殺人、強盗、強姦及び放火をいう)の検挙人員は一一七〇人(前年比一八.八%減)だった。検挙人員は平成二年の一〇七八人を底に増加に転じ、平成九年に二〇〇〇人を超えてからは高原状態が続いていたが、三年続いての減少となった。
罪種別では、殺人(検挙人員六九人、前年比三.〇%増)、放火(同一〇三人、同一九.八%増)が増加したが、強盗(同八九二人、同二二.二%減)、強姦(同一〇六人、同二五.四%減)は減少した。
粗暴犯(凶器準備集合、暴行、傷害、脅迫及び恐喝をいう)の検挙人員は、九八一七人(前年比六.一%減)で六年連続で減少し、記録の残る昭和二十四年以降最低となった。
罪種別では、凶器準備集合(検挙人員一二七人、前年比八六.八%増)、脅迫(同一四九人、同七.二%増)が増加したが、暴行(同一五〇五人、同一.八%減)、傷害(同五九一九人、同三.〇%減)、恐喝(同二一一七人、同一九.一%減)は減少した。
街頭犯罪の検挙人員は二万六七九七人(前年比七.〇%減)で、成人を含めた総検挙人員に占める少年の割合は五九.五%(同一.一減)だった。
路上強盗の検挙人員は、五五三人(前年比二一.八%減)、成人を含めた総検挙人員に占める少年の割合は五二・五%(同二.五減)と減少した。
その他の街頭犯罪では、部品ねらい(検挙人員一一三二人、前年比六.〇%減)、自動販売機ねらい(同九一二人、同三八.三%減)、自動車盗(同八五二人、同九.二%減)、オートバイ盗(同七三一一人、同一〇.七%減)、自転車盗(同一万四六五六人、同〇.五%減)が減少したが、車上ねらい(同五四七人、同三.八%増)は増加した。
刑法犯少年の再犯者数は三万三八三七人(前年比四.七%減)と減少したが、初犯者の検挙人員が大きく減少した結果、再犯者率は三〇.〇%(同一.三増)と増加した。
薬物事犯の犯罪少年の検挙人員は、大麻取締法違反(検挙人員一八七人、前年比七.五%増)が増加したが覚せい剤取締法違反(同二八九人、同三二.三%減)、麻薬及び向精神薬取締法違反(同三六人、同四三.八%減)、毒物及び劇物取締法違反(同九八一人、同三九v三%減)は減少した。
覚せい剤乱用少年の検挙人員のうち、中学生は一一人(前年比五二.二%減)、高校生は四四人(同二〇.〇%減)と減少した。
少年の犯罪被害の認知件数は三〇万九〇七八件(前年比五.二%減)。このうち凶悪犯被害は一四六三件(前年比一二.三%減)、粗暴犯被害は一万六七八五件(同七.〇%減)、窃盗犯による被害は二六万一七〇九件(同五.一%減)で、減少傾向にある。
少年の性犯罪(強姦及び強制わいせつ)被害の認知件数は五三四二件(前年比八.六%減)で、やや減少傾向にあるが、依然として高い水準にある。
その内訳は、強姦被害は八〇八件(前年比七.七%減)、強制わいせつ被害は四五三四件(同八.八%減)と減少した。
児童虐待事件の検挙件数は二九七件(前年比三三.八%増)、検挙人員は三二九人(同三六.〇%増)、被害児童数は三一六人(同三八.〇%増)といずれも増加し、死亡児童数も五九人(同五五.三%増)と増加した。