平成19年3月 第2265号(3月7日)
■私大9割で情報教育実施 「学術情報基盤実態調査」
文部科学省は、平成十七年度「学術情報基盤実態調査」を取りまとめた。
同調査は、昭和四十一年度から実施してきた「大学図書館実態調査」に、コンピュータ及びネットワーク等の実態に関する調査を加え、大学図書館編並びにコンピュータ及びネットワーク編として構成している。実施時期は平成十七年五月一日、調査対象は全国の国公私立大学で、回答率は一〇〇%であった。
調査結果では、まず、大学図書館では、電子図書館機能の整備が進展していることがわかった。図書館ホームページを通じたサービスの提供は、私立大学で四七五大学(八五.四%)、国立大学で八七大学(一〇〇%)、公立大学で六七大学(九一.八%)が行っていた。
また、平日の時間外開館の実施大学数は、私立大学で四二二大学(七七.九%)、国立大学で八六大学(九八.九%)、公立大学で五七大学(八〇.三%)となっている。時間外開館の時間は、全体的に四時間以上の長時間の開館が増加する傾向となっている。
図書館の学外者への公開は、ほぼ全ての大学で実施されている。国立・公立大学共に実施率は一〇〇%、私立大学では九七.一%であった。学外利用者数は約一四八万人と過去最高で、私立大学は五九万人、国立大学は七一万人、公立大学は一八万人であった。
次に、コンピュータ及びネットワークの整備状況であるが、学内ネットワークは、私立大学五四六大学(九八.二%)、国立大学八七大学(一〇〇%)、公立大学七二大学(九八.六%)と、ほぼ全ての大学に整備されている。また、学生が利用するパソコン端末は、大学側で整備するとの考えを持つ大学は四三四大学(六〇.六%)で、私立大学は三四二大学(六一.五%)、国立大学は四二大学(四八.三%)、公立大学は五〇大学(六八・五%)であった。
情報リテラシー教育を実施した大学は全体で六六六大学(九三.〇%)で、私立大学は五一四大学(九二.四%)、国立大学で八五大学(九七.七%)、公立大学で六七大学(九一.八%)であった。教育内容としては、学内ネットワークを利用するために必要な操作方法・技術・ルール、倫理・マナーなどが多く行われている。
セキュリティ対策を実施している大学は全体で七〇八大学(九八.九%)で、私立大学は五四九大学(九八.七%)、国立大学は八七大学(一〇〇%)、公立大学は七二大学(九八.六%)であった。
コンピュータ及びネットワークの管理運営に関する大学の課題としては、組織・人員面では、@技術職員不足の解消、A情報関連組織の再編・統合などが挙げられた。経費面では、@学内ネットワークの管理運営に係る経費の確保、Aシステムの管理運営に係る経費の確保、Bセキュリティに係る経費の確保などが挙げられた。設備面では、@セキュリティ対策の充実、A学内ネットワークの老朽化・陳腐化、B学内認証基盤の構築などが挙げられた。運営面では、@情報戦略の確立、Aセキュリティポリシーの確立、Bネットワーク環境の教育への活用不足などが挙げられた。