平成19年2月 第2264号(2月28日)
■第572回理事会 平成19年度事業計画案・予算案を決める
学校法人強化の研究など7項目の重点目標
春季総会(3/28)へ向け重要課題も協議
日本私立大学協会(大沼 淳会長)は、去る二月二十三日、東京・市ヶ谷のアルカディア市ヶ谷において第五七二回理事会を開催し、平成二十年度私立大学関係政府予算要求の基本方針並びに私学関係税制改善の推進対策をはじめ中央教育審議会及び教育再生会議等の審議動向と大学改革等への対応について、さらに、同協会の平成十九年度事業計画案及び予算案についてなどを協議した。また、来たる三月二十八日開催の同協会第一二六回総会(春季)の協議事項等と運営方針等も協議した。
協議に先立ち大沼会長は「暖冬の影響で今年の桜は入学式どころか卒業式に間に合いそうな蕾のふくらみ具合いです。気候の異常さと同様に、私学を取り巻く課題も異常なほど山積しています。それらの課題に効果的に対処していくため、平成十九年度の事業計画案・予算案を立て、全国各地で多様な教育・研究を展開する加盟校が一致協力して私学振興に邁進していきたいと願っています」と挨拶を述べるとともに「去る二月十七日に逝去された(同協会の)菱山 泉理事(鹿児島国際大学理事長)の御霊に黙祷を捧げたい」との言葉とともに、理事全員が起立して黙祷した。
協議事項に入り、平成二十年度私立大学関係政府予算要求の基本方針の協議では、まず、小出秀文事務局長が説明した。現状の予算項目の中での(短期間の審査や使い勝手の良さなど)早期改善について文科省と折衝すること、また、歳出改革を踏まえた骨太の方針の予想される論点(@学生数減だから経常費補助金減、A定員割れはその私大の存在価値が減)に対して、文科省、財務省をはじめ、文教関係国会議員等へ働きかけ、理解を求めていきたいと強調した。@では、高等教育への進学者が増えた時代に、私立大学は臨時的定員増で入学者を大量に受け入れたが、それに見合う経常費補助金は増やしてもらっていない。にもかかわらず、減った場合だけ補助金を削減するというのは大学経営に齟齬をきたすことになる。Aでは、地方の大学は、各地域自治体・産業界、さらに国公立大学等との連携を図るなどして地域活性化になくてはならない役割を担っている。また、学生減少は高等教育にとって構造的な問題であり、一八歳人口バブル期の一八〇万人時代から今日の一二〇万人になって国立大学の定員はどうなっているのか(国立大学のAO入試・推薦入試五割や私立大学より多い定員超過率一〇七・九%、さらに、四月以後の追加合格等)など、施策の議論が必要なことなどを訴えていきたいとした。
併せて、他団体等とも協議を重ね『私学助成の対前年一%減』の修正に向けて最大限の努力をしていくことを確認した。
次に、中央教育審議会及び教育再生会議等の審議動向についてでは、@教育基本法改正と中教審答申等を踏まえた学校教育法の改正(大学分科会)及びA教育職員免許法の改正(教育制度分科会・初等中等教育分科会)に向けた私大団体連からのヒアリングが行われること等について黒田壽二副会長(大学分科会臨時委員)から説明があった。
また、大学分科会の今後の審議予定について、(1)制度部会=社会の変化に的確に対応しつつ、教育の質を確保するシステムの在り方(大学設置基準の見直し、大学教員の教育力の向上方策としての組織的研修(FD))など、(2)大学教育部会=社会から信頼され国際的に通用する学部教育(学士課程教育)の在り方、(3)大学院部会=国際競争力のある大学院教育の在り方、なども説明した。
さらに、政府の教育再生会議の第一次報告(一月二十四日)以後の今後の検討課題案について、(1)学校再生応援プラン(第一分科会)、(2)子供と家族のための教育再生プラン(第二分科会)、(3)国際的視点に立った教育再生プラン(第三分科会)なども併せて説明された。
引き続き同協会の平成十九年度事業計画案・予算案について廣川利男副会長(企画財務委員会担当理事)から説明が行われ、理事会に先立つ企画財務委員会(別掲)の協議内容が説明され、協議の後、一括して承認された。なお、事業計画案の修文、予算案の総会費等については、大沼会長と廣川担当理事に一任することとし、次回理事会に再度提案することになった。
同協会の役員の欠員補任についてでは、今井久夫大阪歯科大学理事長・学長、鈴木多加史追手門学院大学学長、坂口正雄大阪工大摂南大学理事長の三人の就任が承認された。
報告事項に移り、被用者年金制度一元化問題等の動向については、同協会は昨年の閣議決定の折の「新三階部分は私学独自のシステムを検討する」を踏まえ、一、二階部分を切り離していくといった不透明な議論もあることから、政府・与党等の関係部会等に強く理解を求めるなどしており、二月二十日には、自民党政務調査会の文部科学部会と文教制度調査会とが連名で「私立学校教職員共済の新三階年金の創設に関する決議」(別掲)を採択し、厚労関係議員等にも理解を求めている。
次に、文科省の私学共済年金研究会の協力者の委嘱期間満了に伴う協力者の推薦では、同協会から学校法人役員代表に黒田壽二金沢工業大学学園長・総長を、加入者代表に石田千春大東文化大学人事課長が私大団体連を通じて全私連に推薦された。
最後に、私立学校振興・共済事業団の長井孝介理事が受配者指定寄付金の利息の効率的活用についての考えを説明した。