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平成19年2月 第2263号(2月21日)

薬膳EXPO開く 福岡・中村学園大ほか

 個々人の体質に合わせて作る食事によって健康増進や疾病予防を図る「薬膳」をテーマにした、日中薬膳・機能性食材博覧会(YAKUZEN EXPO2006)が、昨年十二月十二日から十四日まで、一万二〇〇〇人を超える来場者を迎えて福岡市内で開催された。この博覧会は、薬膳科学研究所を擁する中村学園大学と、中国医学を研究する上海中医薬大学の主催によるもので、三日間開催された展示会と薬膳料理ショーのほか、国際薬膳シンポジウム、薬膳セミナー、市民公開講座などの多彩なイベントが催された。
 (学)中村学園は、一九五四年の福岡高等栄養学校の設立以来、一万五〇〇〇人を超える食育にかかわる実践的専門職業人を輩出し、国民の食生活の改善・向上に努めてきた。この間、「食就是薬」「薬就是食」という中国三〇〇〇年の食文化思想を具現化した薬膳への取り組みや、一九九五年の上海中医薬大学との学術交流協定の締結など、アジアにおける食の文化・教育・研究に関する交流に、積極的に取り組んでいる。
 初日は、福岡国際センターでオープニングセレモニーが行われ、(学)中村学園の中村量一理事長、上海中医薬大学の謝 建群常務副学長による主催者挨拶、来賓祝辞、テープカットの後、国内初の薬膳の博覧会がスタートした。同センター内の展示会場には、両大学によるテーマ展示のほか、国内外の九六の企業・研究機関が出展して、薬膳に欠かせない食材を紹介する「食の市場ゾーン」などの展示と、薬膳弁当や薬膳カレーといった薬膳料理を提供する「薬膳フードコート」がオープンした。また、福岡国際会議場では第三回「国際薬膳シンポジウム」が開催され、中村学園大学の藤本 淳学長の挨拶の後、同大学の坂田利家教授の基調講演、上海中医薬大学の謝常務副学長の特別講演、日中韓の研究者らによる「健康食としての薬膳」「薬膳と食育」をテーマとするシンポジウムが行われた。
 二日目は、展示会場内の特設ルームで、最先端の中医学に関する「薬膳セミナー」が開かれた。薬膳と免疫調整、薬膳と美容、薬膳と抗老化、薬膳と抗疲労、高機能性大豆の育種と健康効果についての専門的な講義に、定員を上回る参加者は熱心に耳を傾けていた。
 最終日は、福岡サンパレスに約一六〇〇人が参集して「市民公開講座」が開催された。はじめに、(社)日本栄養士会の中村丁次会長が「メタボリックシンドローム予防のための日本型食生活」について、次に、家事都合により急遽帰国した、韓国・宮中飲食研究院の韓福麗院長に代わって、中村学園大学の三成由美教授が「チャングムの食事にみる薬食同源」について、それぞれ講演した。そして、二〇〇三年太極剣世界チャンピオンの渡辺俊哉氏の演武、三人のシンポジストによるシンポジウム「東洋と西洋の食養生」が行われた。
 今回の博覧会は、アジアの健康・食産業の集積拠点を目指す福岡にとって、二十一世紀におけるアジアの食文化の形成への新たな挑戦という目標に向けた、出発点にもなったといえる。

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