平成19年2月 第2263号(2月21日)
■ 夢と希望を与える教育者に
私は、今年六〇歳を迎える亥年生まれの年男です。意外に早く、このような年になってしまったという感じです。世間では、団塊の世代の大量退職時代の到来といったことが、いろいろと騒がれていますが、まったく別世界のような気がしております。しかし、このように仕事をさせていただいていることについては、あらためて本学教職員に対する感謝の気持ちでいっぱいです。
さて、福山大学も今年で三二周年を迎えることになります。これからを展望いたしますと、今までとは比較にならないほど、困難なことに直面するだろうと思います。それは、今の環境が、未曾有の競争激化ということもあります。しかし、それ以上に、私たちの積年の弊がたまってきていると思います。それらを一掃すること、これこそが一番の課題だと思います。
やはり、三〇年にわたって、ほぼ右肩上がりに推移するままに、教員の意識も横柄になってしまい、学生との距離ができてしまったという気がします。教員は十分に反省して、学生本位の考えに戻って欲しいものです。本学の教職員が今、一番しなくてはならないことは何か、これを認識しなくてはなりません。まず、人を育てる、学生に夢と希望を与える教育者になることです。
本学には創立者・宮地茂先生の「三蔵五訓」という立派な建学の理念があります。本学の教育理念です。私たちは宣言しています。社会に役立つ人間を輩出しよう。実学教育を重視しています。そこで、具体的な中身は、素直な心を持つ、前向きな志向、強靭な精神、国際感覚を身に付けた積極的な姿勢を持つ、協調できる人間、人としていつでも持たなければならない労う心・敬う心・慈悲心といった思いやり、自然に対して畏敬の念を持つこと、及び、感性ある人といった人物を育成したいというのがこの理念です。
これを目標に、いかなる教育をしていくのかを各教員には考えてほしいということです。基本的には、学生に自信を付けさせることだと思います。自信を付けさせるには、学生と親しくなり、基礎的なことから、また、学生の持っている夢、願望への到達まで、手を携え、学生を導き、指導していくという根気強い教育をすることです。気が付く教員は「自分たちは、いつしか傲慢になっていた」と言います。
今こそ初心に戻り、「三蔵五訓」の建学の理念に立ち戻るよう意識を改革して参りたい。そして、設立当初のパイオニア魂をもって、山を崩し、谷を埋めての精神で、時代にマッチした、夢と希望を与えられるよう、足下を見つめながら教育に励み、永遠の存続を目指して、関係各位の負託に応えるべく邁進して参りたいと思います。