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平成19年2月 第2262号(2月14日)

自立した青少年の育成 視点と方策を提言

 本紙既報のとおり、中央教育審議会は、去る一月三十日の総会において「次代を担う自立した青少年の育成に向けて〜青少年の意欲を高め、心と体の相伴った成長を促す方策について〜」答申した。今回の答申は、青少年をめぐる問題は大人社会全体の責任であるとの認識の下、青少年の自立への意欲を育むために重視すべき視点と具体的方策について、五つの提言を行っている。概要は次のとおり。

第一章 今なぜ、青少年の意欲を高め、心と体の相伴った成長を促す必要があるのか

 わが国社会の活性化と持続的発展のため、大人の責任として、社会全体ですべての青少年に社会的存在として一定の役割を担おうという「自立への意欲」を持たせ、成長過程全体にわたる心と体の調和の取れた成長を促す。

第二章 青少年の意欲をめぐる現状と課題

 基礎的な体力の低下や不足、青少年の価値観等と社会的期待との相違、意欲を行動に移す段階でのつまずきといった、大人側から「意欲に欠ける」と見られる青少年の状態やその原因は、具体にはさまざまである。また、青少年の生活実態等に関する各種データ及び研究成果等から、基本的生活習慣の乱れ、希薄な対人関係、直接体験の少なさ、情報メディアの急速な普及に伴う問題といった課題が見られる。

第三章 青少年の意欲を高め、心と体の相伴った成長を促すために〜重視すべき視点と方策〜

 家庭・学校・地域そして企業等のすべての大人が自らの課題として受け止め、積極的に行動する。
 (1)家庭で青少年の自立への意欲の基盤を培おう―《視点》保護者の自覚、父親の積極参画、家事分担による生活体験の充実、保護者の「仕事と生活の調和(ワークライフバランス)」の実現/《方策》生活習慣の健康・意欲への影響調査、体力向上方策研究、望ましい生活習慣育成・子どもの体力向上の啓発
 (2)すべての青少年の生活に体験活動を根づかせ、体験を通じた試行錯誤や切磋琢磨を見守り支えよう―《視点》多様な体験活動の機会の提供、試行錯誤・切磋琢磨の支援/《方策》放課後子どもプラン、総合型地域スポーツクラブ、伝統文化子ども教室、学校での運動習慣づくり、青少年団体の活性化、国立青少年教育振興機構の機能強化、幼児向け自然体験・小中学生のサマーキャンプ・高大生のリーダー育成
 (3)青少年が社会との関係の中で自己実現を図れるよう、地域の大人が導こう―《視点》社会への関心・興味の育成、地域の大人を親・教師に次ぐ「第三の保護者」として位置づけ、青少年健全育成へ参画促進/《方策》職業体験活動の充実、先輩・地域の大人との交流体験の提供、青少年の努力・社会貢献の評価、大学生・高齢者等の参画支援、総合型地域スポーツクラブと学校の連携、自然体験活動関係者・団体のネットワーク化
 (4)青少年一人ひとりに寄り添い、その成長を支援しよう―《視点》ガイダンスの発想に立った青少年一人ひとりの成長支援、学校の相談体制整備や連携サポート体制の充実/《方策》ユースサポーター(仮称)の育成、指導者への研修機会の提供、スクールカウンセラー等の配置等、民間団体等と連携した相談体制の充実、科学的研究成果の教育現場への応用
 (5)情報メディアの急速な普及に伴う課題へ大人の責任として対応しよう―《視点》有害なコンテンツの排除、社会のルール・マナー等が学べる良質なコンテンツの作成促進、コンテンツの発信者と受信者の協同による情報メディア環境の改善、携帯電話を利用した犯罪等から青少年を守る取り組みの推進/《方策》自主規制実態の情報公開、第三者機関によるコンテンツの質の評価の促進、放送倫理・番組向上機構の活用促進、業界・青少年育成団体・行政機関等のネットワーク構築、携帯電話へのフィルタリング標準装備の促進、各学校の携帯電話持ち込みルールの策定、保護者の学習機会の確保

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