平成18年2月 第2261号(2月7日)
■創立40周年を迎えて
私どもの大学は、おかげさまで今年、創立四〇周年を迎えます。人間ですと最も脂の乗りきった年代です。教職員一同、一体となって「小粒でもきらりと光る」大学にしなければと努力しているところです。皆様方のご支援、ご鞭撻をお願いいたします。
大学本部のある福岡県・苅田町は、昨年三月に北九州空港が開港し、日産自動車九州工場に加えて、トヨタ自動車九州のエンジン工場が進出するなど大きな変化がありました。また、本学は、ものをつくる立場からの「工学部」の他に、使用者の視点からのものづくりのための「デザイン学部」を新たに北九州市に発足させました。材料はいろいろ揃いましたので、本学を発展させるには、これらをどう調理し、味を付けるかがこれからの仕事です。
さて、私の六年生時代の通信簿を見つけた娘が、「お父さん、栄養要注意と書いてあるよ」と驚いていました。海外から着の身着のままで帰国した昭和二十一年は、私どもだけでなく多くの人々にとって、現在の若者には想像もできないような飢えの時代でした。入学も卒業も国民学校で、中学は新制中学一期生の私たちの世代は、これ以上ないのではないかと思われるほど、時代の変化にもまれてきました。自分たちが杉皮を町有林から運び出してつくった中学校は早々に廃校となり、高等学校までもがこの三月で消えてしまいます。卒業した中学校も高校もなくなるのはとても寂しいのですが、おかげさまでと言うのも変ですが、少々の時代の変化や社会情勢の変化には驚かなくなりました。
今の社会を見ていますと、平和な時代が続き過ぎたせいか、たくましさの足りない若者が増えたように思われます。また、何でも人のせいにして、自分で問題を乗り越えようとしていません。大学の教育改革も同じなのかもしれません。時代の変化や進歩に合わせて、教育方法や内容を変えなければならないのはわかっていても、変化に対して不安を感じるのか、思うようになかなか変革が進まないのが実情です。
それにもまして問題なのは、出口の需要は旺盛なのに、工学系の志願者が激減していることです。技術立国以外に生きる道がないわが国で、優秀な若者に工学がそっぽを向かれるのは由々しき問題です。科学技術の楽しさ、困難を乗り越えて新しいものを作り出したときの達成感など、銭金だけでない人生の価値観なども伝えなければならないと考えています。
亥年だと言っても猪突猛進せず、一歩一歩確実に改革を進めていかなければと心を引き締めています。