平成19年1月 第2260号(1月24日)
■公財政改革委員会 学術研究の在り方で拡大会議
文科省・徳永研究振興局長招いて協議
日本私立大学団体連合会の公財政改革委員会(白井克彦委員長)の拡大会議が去る一月二十二日、東京・市ヶ谷のアルカディア市ヶ谷で開催された。
同会議は、同委員会の委員のほか、構成団体の理工系大学等の代表者が出席して、平成十九年度の学術研究関係予算の状況を顧みるとともに、平成二十年度予算等へ向けて、今後の学術研究の推進についての基本的な考え方、方向性、現状の問題点等を協議した。
会議では、はじめに文部科学省の徳永 保研究振興局長が同省の学術研究施策について概説した。
徳永氏は、対前年度一%減となった私学助成予算に触れ、「結果的には、私学助成減と科学研究費補助金増の見合いとなってしまった。学術研究は短期間で成果の出るものではなく、その意味で基盤的経費として重要なものと認識している」と述べた上で、昨今の歳出改革による競争的資金配分強化の中で「現実的に私学助成減をリカバリーするには、大学の教育・研究にふさわしい競争的資金獲得にシフトせざるを得なかった」と語った。
次に、学術研究とは、自由な発想と知的創造活動全般にわたるものであり、その意味で「新たな学術研究システム」の導入の必要性を訴え、科学技術・学術審議会学術分科会研究環境基盤部会の作業部会(主査=飯吉厚夫中部大学総長)等での検討課題等を説明した。その中で、今後は、私立大学、国立大学の研究組織の現状と課題を精査するとともに、開かれた研究拠点を形成し、私立大学の優れた研究等を更に充実強化させ、併せて我が国全体を俯瞰した学術研究推進システムを考えてみたいなどと述べ、我が国全体の学術研究推進に対する公財政支援を訴えていきたいとの考えを示した。
これに対し、委員からは「私大の多くは教育に軸足があり、研究に十分な資金を回せない。せめて、若手の研究者に対しての基盤的経費の拡充を」「研究支援の補助率を高めれば、研究内容を充実できるものがあるのではないか。また、学術フロンティアやハイテク・リサーチ・センターなど、五年間の支援の終了後のランニング・コスト問題が残る。これらの問題があると意識面で学内の学術研究推進にとってマイナス効果になっている」「例えばハイテク・リサーチ・センターの事業等は、一大学のためだけではなく、国に一〇〇%寄与するものもある。一定のルールの下に新しい支援等があってもよいのではないか」「私学の多くは地域の活性化等のため、産学連携等の学術研究をしており、それらにも十分に光を当てて欲しい」など多くの意見が出された。
これに対し、徳永局長は現状の枠組の中で考えるのではなく、国の行政施策の一環と位置づけられるような全国共同利用的な拠点形成等を目指せれば、学術研究推進の強化が予算的にも図れる可能性があるかもしれないと応じた。
最後に、白井委員長からは、今後とも議論を尽くして、早急によりよい提案をし、政策に反映していただくようにしたいと述べた。